「医療機器メーカーでの経験を活かして海外で働くことは可能なのか」「化粧品メーカーに勤めているけど海外転職ってできるの?」「未経験から海外でヘルスケア業界に挑戦したい」など、海外の医療・ヘルスケア業界で活躍したいと考えている方はいらっしゃるでしょう。
しかし、「国家資格を持っていないから無理なのでは」「未経験なのに、いきなり海外でヘルスケア業界に転職できるわけがない」と海外での挑戦を諦めている方も多いと思います。
結論から述べると国家資格が無くても未経験でも、海外の医療・ヘルスケア業界で働くことは可能です。
ただ、いきなり「医療 海外 仕事」などと検索しても、あなたにふさわしい求人情報を得ることはできません。恐らく、看護師や医師向けの情報ばかりが表示されるでしょう。
そこで、「海外勤務の医療・ヘルスケア業界には、どのような職種・仕事があるか」を実際の求人票と共に紹介したいと思います。
もくじ
海外で医療やヘルスケア業界に転職するときの現状
あなたに国家資格がある場合を除いて、海外でいきなり医療の専門職に就くことはできません。一からその国の言語を習得して学校に通い、資格を取得すれば可能ですが、かなりの時間・お金・労力が必要です。
ただ、あなたに製薬メーカーや医療機器メーカーでのスキルや経験があるのであれば話は別です。医療機器メーカーでの営業やマーケティングの経験、製薬メーカーでの品質保証・生産管理といった豊富な経験があれば海外勤務の求人を見つけることができます。
もちろん、「そのような経験はない!」という方もいます。その場合だと職種の幅を広げれば、未経験から海外の医療・ヘルスケアに携わることは可能です。
例えば、病院のスタッフとして働いたり、医療系の会社でコールセンターの仕事に就いたりするなどです。また、ヘルスケア業界ではビューティーサロンでアロマセラピストやエステティシャン・ネイリスト・アイリストとして活躍することもできます。
実際に私が日本で通っていたネイルサロンのネイリストさんは、オーストラリアの日本人オーナーが運営するネイルサロンに転職して、そのままオーストラリア人と結婚しました。
アメリカ・カナダ同様、オーストラリアもビザの取得がかなり難しく、求人自体が少ない国です。しかし、ヘルスケア業界に就職するのであれば、未経験であったとしてもこのような国々への海外勤務が可能になります。しかも、高い語学力が問われることもありません。
「なぜビューティーサロンでそこまで日本人の需要があるのか」ということについて、以前そのネイリストさんが理由を教えてくれました。「日本人のおもてなし精神といったサービス力に加えて、高い技術力が他の外国人ではなかなか習得できないから」が、その理由だそうです。
エステでの施術や細かい作業が求められるネイルの仕事は、やはり手先の器用な日本人に向いているとのことでした。つまり日本人としての強みを活かせる仕事に就けるということなのです。
このように、医療業界での経験を活かして海外に転職したり、ヘルスケア業界で未経験から海外でチャレンジしたりすることが可能です。
海外勤務で募集されている医療業界の実際の求人内容
まず、海外勤務で募集のある医療業界の職種について紹介していきます。海外移住ではなく、「日本にある会社に就職し、将来は現地の会社へ出向する可能性が高い求人」についてです。
前述の通り、製薬会社や医療機器メーカーでの豊富な経験があれば、これまでの経験・知識を活かして海外転職が可能です。例えば、以下の医療機器メーカーでは香港の営業・マーケティングのポストで駐在員の募集があります。
この求人の場合だと、「整形外科の医療機器製品の取り扱い経験が3年以上」という条件が応募資格に含まれています。整形外科領域の機器を取り扱う医療機器メーカーで営業やマーケティングの経験が3年以上あれば、必須項目の一つをクリアすることができます。
他にも、以下は製薬会社から出された「メキシコで海外事業推進を担当する募集」です。
メキシコでドリンク剤や医薬品の営業・マーケティング・商品開発を行う募集です。ただし、ビジネスレベルの英語力が求められます。
なお、この中途採用の場合、入社後半年から1年間は東京本社での研修を受けて、その後にメキシコの現地法人で駐在員として勤務します。
海外勤務で最も人気があるのは駐在員としての赴任です。現地採用との大きな違いは、福利厚生や給与面です。駐在員の場合、家賃補助・車の支給・家族手当・日本の社会保険の支払い・一時帰国の飛行機代・子どもの教育費など手厚い補助があります。
給与面においても、日本の給与はそのままで海外での給与がダブルで支払われることがあります。一方で、現地採用の場合は福利厚生・給与面の両方とも駐在員ほどの待遇は望めません。
駐在員の求人募集は少なく、専門知識が求められる
しかし、駐在員は任期が決まっているのに対し、現地採用の場合はビザの問題・会社との契約さえクリアすれば自由にその国で働き続けることが可能です。
また、駐在員としての海外転職の求人は現地採用の求人に比べると多くありません。さらには高いスキル・経験が求められます。もしあなたが駐在員の条件に当てはまるのであれば、転職に挑戦してみることをおすすめします。
駐在員として転職できれば、外国での生活に困ることはありません。家族を安心して連れていくこともできるでしょう。
例えば、以下は製薬会社での薬事業務に関する中途採用募集です。
こちらは中国で駐在員として海外勤務することができます。専門分野での経験が求められますが、国家資格を保有しなくても医療業界であなたの経験を活かして転職することが可能です。
他にも製薬メーカーでの品質保証業務の経験があれば、以下のような求人に応募できます。
こちらは中国かシンガポールで品質保証業務を担当する募集です。また、募集概要は次のようになっています。
「経験が何年以上」という制限は設けられていないので、数年程度のキャリアでも応募できます。ただし730点以上のTOEICが求められます。このようにどうしても高いレベルを求められるのが駐在員ポジションとしての求人募集です。
医療機器・製薬会社の海外営業・販売でも活躍できる
なお、営業経験のある人なら医療業界で転職できる機会がたくさんあります。医療機器メーカーの海外営業として活躍できるチャンスがあるからです。
このとき、医療機器メーカーの営業として勤めている必要はありません。不動産でも保険会社でもいいので、営業経験さえあれば必要条件が満たされます。当然、アパレル店舗での営業経験でも問題ありません。
このような営業経験があれば、以下のような医療機器メーカーの海外営業の求人に応募することができます。
求人にある通り、必要条件は「何かしらの営業経験」なので医療業界での営業経験に関わらず、一般的な営業職に就いた経験のある方なら応募できます。シンガポールへの海外赴任のチャンスがあるのです。
未経験から応募するなら病院スタッフもおすすめ
前述した職種の場合、ある程度のキャリアがないと応募できない求人です。しかし、未経験からでも挑戦できる職種があります。その一つが病院での医療事務の求人です。医師や看護師といった専門職ではなく、一般スタッフとして勤務します。
例えば、以下はカンボジア(プノンペン)にある日系クリニックで出された中途採用の募集です。
日系病院なので、対応するのは日本人の患者さんばかりです。そのため、当然ながら現地の言葉を話せる必要はなく、英語力も不要です。
受付で日本人の患者さんを相手にして、事務作業や会計サポートなどを行う仕事になります。このような求人であれば、未経験から海外の病院で働くことができます。
そのほか、英語のスピーキング力は求められるものの、以下のクリニックでは医療経験のない人でも受け入れてくれます。
マレーシアで出された中途採用の募集であり、クリニックの受付を行います。日本人が多くいる場所での募集なので、こうした求人が出されます。
通訳としての勤務でもあるため、「語学力を活かして医療に携わる仕事に就きたい」と考えている方に向いている求人といえます。
病院での勤務であれば、受付に限らず日本人を相手にしたコールセンター業務や人事・総務など、意外と多くの求人があります。医療未経験なのであれば、こうした中途採用についても視野に入れてみましょう。
アメリカ・カナダも!海外勤務可能なヘルスケア業界
ただ、こうした医療機器の営業・技術系や製薬会社での専門職、病院スタッフだけでは条件がマッチしなかったり、あなたのやりたい仕事ではない可能性があったりします。
そこで、医療分野だけでなくヘルスケア業界にも目を向けてみましょう。
海外のヘルスケア業界の求人では、化粧品関係やリラグゼーション系の募集が多い傾向にあります。特に未経験なのであれば、同じ健康分野でもこうした業界に転職しやすいです。
そこで、化粧品業界とリラグゼーション業界に分けて解説していきます。
キャリア転職の場合、海外の化粧品業界は高い語学力が求められる
医療と同じ健康産業の一つが化粧品です。化粧品についても工場や事務、営業などの求人が存在します。
例えば、化粧品メーカーで生産管理の経験があれば以下の求人に応募できます。
これは化粧品大手の資生堂が募集する欧州・米国地域担当の海外生産工場技術管理者の求人内容です。
化粧品メーカーで生産マネジメントの豊富な経験があれば応募できます。ただしTOEIC750点以上の英語力が必要です。化粧品メーカーでのキャリアに加えて語学力をつけることで、あなたの専門を活かした海外転職への道は開かれます。
ただ、こうした特定のスキルがなかったとしても語学力のみで海外勤務できる可能性があります。
以下は日本の化粧品メーカーのタイ(バンコク)法人で企画営業に携わる求人内容です。
必須条件は「英語でコミュニケーションが取れる方(日常会話レベル)」だけです。学歴不問であり、前職の経験も問われません。未経験者や第二新卒であっても受け入れてくれます。
タイ国内の化粧品メーカーにコスメを企画・提案する海外営業になりますが、英語での会話さえできれば営業経験ゼロであっても、こうした職種に応募して海外勤務できる中途採用募集となっています。
リラグゼーション系は海外勤務でも未経験から挑戦できる
また、同じ美容系でもリラグゼーション系の仕事であれば未経験から応募することができます。
例えば、以下の中途採用求人はシンガポールのトータルビューティーサロンにて施術を提供する仕事の募集です。
研修期間がありますが「未経験者も歓迎」と記載されています。セラピストやエステティシャン・ネイリストの経験があれば、キャリアを活かした海外転職につながります。
英語力は日常会話程度なので、英会話を集中して勉強すればクリアできます。
また、マッサージ資格やセラピスト経験者であれば以下のような求人に応募することもできます。
求人自体が少ないアメリカ(ハワイを含む)やカナダ、オーストラリア、ヨーロッパ(フランス、ドイツ、イギリスなど)で働けるチャンスがあります。海外のホテル内にある高級日本スパでの勤務です。
日本人に人気のハワイやシドニーなどの都市で仕事を探している方にとっては、魅力の大きい求人だといえます。
まとめ
医療(製薬会社や医療機器など)やヘルスケア業界は専門分野のため、「国家資格が無いと海外勤務は無理なのではないか」と諦めている方も多いと思います。
しかし具体的な求人内容を知ることで、あなたが挑戦できる職種のイメージが湧いたのではないでしょうか。医療機器メーカーや化粧品メーカーでの豊富な経験があればキャリアを活かして海外転職が可能です。
または営業経験があれば、医療機器メーカーの海外営業・販売として海外赴任できます。
さらには未経験であっても、海外の病院スタッフや医療オペレーターとして医療に携わることが可能です。その他、ヘルスケア業界であればトータルビューティーサロンで働けます。しかも、アメリカ(ハワイ)やカナダ、オーストラリア(シドニー)といった求人自体の少ない国で働くチャンスがあるのです。
研修が充実している会社であれば、未経験からでも技術を磨くことができます。「海外に住んでみたい」という夢を諦めずに、医療やヘルスケア業界での海外勤務に挑戦してみるのはおすすめです。
海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。
ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。
しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。
人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。