あなたが海外転職活動を進める上で必要になってくるのが、「英文の履歴書」と「カバーレター」です。日本と比べて、海外の履歴書は内容や形式が違うだけでなく、見られている点も違います。そのため、日本で使用していた履歴書は役に立ちません。

また中には、「日系企業しか受けないから必要ない」と考えている人がいるかもしれません。しかし、海外にある日系企業に応募する場合であっても、日本語と英語両方の履歴書が求められることがあります。

英文の履歴書は作成に時間がかかるので、余裕を持って準備しておくことをおすすめします。

ここでは、イチから「履歴書とカバーレターの書き方」について解説していきます。実際に私が海外で大手人材紹介会社の担当者から受けたアドバイスも合わせて記載しているので役立ててください。

日本の履歴書の内容をそのまま英訳するのはNG

日本の履歴書は世界のスタンダードから見ると、かなりずれています。そのため、日本で就職活動をした時に使用した履歴書の内容をそのまま英文に翻訳して、使い回すのはやめておいた方がいいです。

このとき、注意点は以下の2つです。

  • 履歴書はパソコンで作成し、内容をシンプルにする
  • 記載しなくてもいい履歴書の項目がある

まずは、日本と海外の履歴書の違いについて解説していきます。

履歴書はパソコンで作成し、内容をシンプルにする

日本の場合、手書きで履歴書を作成するのが主流です。しかし、これは海外からするととても奇妙な風習です。「何でわざわざ時間をかけて一枚一枚手書きで記載するのか」「パソコンのように簡単に修正できないから面倒」と外国人は考えます。

日本で手書きの履歴書が一般的な背景には、日本の「新卒一括採用」という独特のシステムがあります。大学4回生という同じ時期に同じスーツを着て同じフォーマットの履歴書を抱えた学生が一度に多くの企業の就職試験や面接を受けます。

その際、企業の書類審査の一つの指標として「手書きの履歴書」が求められます。使い回しができないので、「とりあえず受けたい人を減らせる」「字の丁寧さなどから、その人の仕事に対する姿勢などが伺える」といった採用担当側のメリットがあります。

一方で海外だと新卒一括採用は特殊であり、学生それぞれが就職したいタイミングで就活を行います。企業側も一度に多くの人材を採用することはないので、膨大な数の書類を審査する必要がありません。そのため、手書きにこだわる企業は存在しないのです。

このとき、「熱意を伝えるために敢えて手書きの履歴書を」と作成して送っても、逆に「非効率な人」「パソコンのスキルがないのでは?」と捉えられてしまう可能性が高いです。そこで履歴書はパソコンで作成しましょう。

なお、履歴書はできるだけシンプルにまとめます。志望動機や細かい実績などはカバーレターで伝えるので、履歴書は1枚程度に収めるようにしましょう。日本の履歴書だと「特技・趣味」などを記載する項目がありますが英文履歴書の場合、仕事と直接関係ないことは記載しないのが基本です。

フォーマットの指定がない場合は、Wordで作成してPDFで送付します。

記載しなくてもいい履歴書の項目がある

参考までに、欧米では「性別・年齢・生年月日・家族構成・証明写真」といった個人情報は履歴書に記載不要です。履歴書だけではなく、面接でもこのような項目について聞いてはいけないことになっています。例えば、「結婚の予定はありますか」「子どもはいますか」「出身国はどこですか」という質問はタブーとされているため、聞かれることはありません。

雇用にあたり、そのような「個人的要素を理由に差別をしてはいけない」という法律が存在するからです。欧米やアジアを含め、これらの項目は記載しなくていいです。ただし、「個人情報を記載してはいけない」というわけではありません。

実際に私がヨーロッパでの転職活動の中で、オランダ人の友人に履歴書を確認してもらったとき、「何で写真を貼らないの?」と言われたことがあります。私は「差別につながるから貼ったらいけない」と思っていたのですが、「あなたという人間をイメージしやすいから写真はあった方がいいよ」と言われました。

さらに「基本情報だから生年月日も記載した方がいい」と助言され、私もどちらがいいのか分からなかったので実際に大手の人材紹介会社で質問したことがあります。

すると担当者は「有利になるなら記載したらいい」「記載したくないことはしなくていい」と説明してくれました。例えばあなたが20代なら、生年月日や年齢を記載することで若さをアピールできます。要は「個人情報を記載するかどうかは自分で判断すればいい」のです。

英文履歴書(English Resume・CV)のテンプレートで履歴書の書き方を解説

次に、実際に英文の履歴書の見本を基に履歴書の書き方を解説していきます。基本的に履歴書はフォーマットが存在せず、自分で自由に作成してかまいません。以下のような履歴書になります。

仕事に関係すること、選考においてプラスにつながることを記載しましょう。必ず記載するべき項目は以下の4つです。

  1. 個人情報(Personal information)
  2. 職務経験(Experience)
  3. 学歴(Education)
  4. 資格・スキル(Skills)

テンプレートを基に詳しく見ていきます。なお、今回のテンプレートを「ここからダウンロード」できるようにしています。

個人情報で基本情報を記載する

住所・電話番号・Eメールアドレスは必ず記載します。また生年月日など、他に記載したい項目がある場合は書いておきましょう。

写真を貼付するのであれば、この項目の右側に貼るといいです。

職務経験には箇条書きで業務内容を記載する

日本の履歴書とは異なり、現在から過去へさかのぼって職歴を記載します。ポジション(職種)、会社名、会社の住所を記載して、その下に箇条書きであなたが従事した内容・実績を挙げていきます。

単に職歴を記載するだけでなく、具体的な数字を述べると分かりやすいです。

学歴は大学以降を記載する

日本の履歴書の場合、「高校卒業」から記します。ただ、英文の履歴書は大学以降のみ記載します。また入学年月も不要であり、学位・学部・大学名・所在地・卒業した年の順に記載します。

職歴と同様、年代の新しい方から記します。

イメージしやすいスキルと資格のみ記入する

「Skills」には、あなたが保持している資格や分かりやすいスキルを記入します。

4つ目の項目を「Qualifications」として、あなたのパーソナリティー(勤勉であることなど)やコミュニケーション能力、マネジメント力を記載している履歴書例もあります。ただ、履歴書の内容をシンプルにするためにも、ここでは具体的にイメージしやすい資格やスキルのみ記載することをおすすめします。

例えば、言語レベルはイメージが簡単ですが「コミュニケーション能力が高い」と書かれていてもイメージが湧きません。このような内容は具体例と共に後に説明するカバーレターでアピールするといいです。

・言語について

海外転職する場合、言語スキルは重要視されることが多いです。そのため、あなたの渡航する国が英語以外の言語を話すのであれば、英語スキルに加えて、たとえ初級レベルでも現地の言語を記載することをおすすめします。現地の言語を習得する意思があることをアピールした方が好印象だからです。

そのため例えば、ドイツにある企業に履歴書を送る場合は「Languages: Japanese (native); English (advanced); German(beginner)」などと記載するといいです。

以上の4項目は履歴書に必ず記載します。一方で、「Objective(希望職種)」を記載する必要はないのか疑問に思う人がいるかもしれませんが、これについてはカバーレターに入れるので省いて問題ありません。履歴書は企業毎に内容を変えず、使い回せるようにすることをおすすめします。

カバーレターで志望動機や熱意をアピールする

海外転職ではカバーレターも用意します。「カバーレター」とは、採用担当者に対する「お手紙」です。その中であなたの熱意・自己PRや志望動機を記載して、採用担当者から「この人に会ってみたい」と思ってもらえるようにします。

以下がカバーレターの例です。

日本国内の就職活動でカバーレターを作成した人は少ないと思うので、書き方や注意点について詳しく解説していきます。なお、カバーレターのテンプレートは「ここからダウンロード」できるようにしています。

カバーレターも履歴書と同様、フォーマットは存在しません。お手紙なので項目さえ押さえれば、自由に記載してかまいません。ワードで1枚になるよう作成するといいです。ここでは「マーケティングアシスタント職」へ応募することを想定して、カバーレターのテンプレートを載せました。

・冒頭は宛名を記載

まずは入力している日付、応募企業の名前や住所を書きます。担当者の名前が不明な場合は「Dear HR contact」と記載するといいです。

・熱意や志望動機をアピールする

続いて、「なぜその会社のそのポジションを志望するのか」「応募に対する熱意」を述べます。海外転職の場合、あなたが日本人であること、日本語を母国語としていることは大きな強みになります。ビジネス上で活かせる場面があれば、そのことをアピールするといいです。

また、志望動機についてもここに記載しましょう。

・履歴書に記載できなかったあなたの能力や実績・経歴を記す

履歴書はシンプルにまとめているため、あなたの能力や実績を細かく記載できていません。あなたの希望するポジションで活かせるような能力・経験や実績について、ここに記すようにしましょう。説得力を持たせるため、具体的な数字やデータを挙げるといいです。

また、履歴書に記載できなかったコミュニケーション能力・マネジメント能力・企画力・問題解決能力といった、あなたのスキルについても分かりやすい例と共に述べなければいけません。

他にはアピールにつながるのであれば、職歴に記載できなかったボランティア・インターンシップ・アルバイト経験なども記しましょう。

・最後に熱意とお礼を述べる 

結びの部分でもう一度熱意を伝え、最後まで読んでくれたお礼を述べます。

・あなたの個人情報

履歴書には個人情報を記載していますが、採用担当者があなたにコンタクトを取りたいと思ったときにすぐに連絡できるよう、電話番号とメールアドレスをカバーレターにも記載しておきましょう。

海外求人への応募メールは応募職種を入れる

海外求人へ応募する際、募集要項に履歴書とカバーレターを指定のアドレス宛に送付するよう求められることがあります。この場合、メールの作成も重要になります。

そうしたとき、メールの件名には必ず応募するポジション名を記載します。例えば、「Resume and CV for (ポジション名)」 という様に入力しましょう。

中には件名が指定されている場合があるので、その時は指定通りに記載します。そうでなければ、メール自体を開けてもらえない可能性があるので注意が必要です。

メールの本文は簡潔に!長々と書かない

また履歴書とカバーレターを添付するので、メールの本文は簡潔にします。カバーレターと同様、「Dear 担当者名」として書き始めます。

以下のことを伝えましょう。

  • メールに履歴書とカバーレターを添付している
  • 数行以内の熱意

例えば前者であれば、「Please find my resume and cover letter.」などと記載します。全体のボリュームとしては、メールを読む際にスクロールの必要がない程度に収めましょう。

ただ、中には履歴書のみを送付するよう指示があるケースもあります。その場合、自己アピールや志望動機を伝える場がないので、カバーレターの内容をメールに記載することをおすすめします。

可能なら最後はネイティブにチェックしてもらう

履歴書とカバーレターが完成したら、できるだけ英語をネイティブとする人にチェックしてもらうことをおすすめします。

英語が得意な日本人の友達や英語の先生に確認してもらってもいいのですが、やはりネイティブに見てもらうのが一番いいです。ただ、「ネイティブスピーカーの友達がいない」という人が大多数だと思いますので、その場合はオンライン英会話の先生に依頼することをおすすめします。

例えば、オンライン英会話でもアメリカ人やイギリス人の先生の予約は難しい可能性があります。そのため、もう少し選択肢を広げてみましょう。英語を母国語とする南アフリカや、英語が公用語のインド・香港出身の先生でも問題ありません。レッスン中に履歴書とカバーレターを送れば、オンライン上で添削してもらえます。

オンライン英会話をいま利用していなかったとしても、単発(チケット制)を利用すれば、ピンポイントで履歴書を添削してもらえます。

私自身、履歴書やカバーレターの添削でこの方法を使いました。言い回しや文章の流れなど細かいところまでチェックしてくれます。

まとめ

英文履歴書もカバーレターも作成に時間がかかります。ここで紹介したポイントを押さえながら、まずは日本語で志望動機や自己アピールなどの文章を作成しましょう。英訳するとき、Google翻訳を使ってもフォーマルな文章には変換されません。類似した例文をネット上で探して書き換えていきましょう。

ただ、一度作成してしまえば履歴書は使い回しが可能です。カバーレターは志望動機の部分さえ作成すればいいので、日本の履歴書作成ほど時間がかかりません。

もし履歴書とカバーレターの作成で行き詰った場合は海外転職エージェントの担当者に相談するといいです。彼らはプロなので内容についてアドバイスしてくれます。ただし最終的な英文チェックは、英語をネイティブ(または公用語)とする外国人に依頼することをおすすめします。

書類審査を通過しなければ海外転職を成功させることはできません。面接につながる英文履歴書とカバーレターを仕上げるようにしましょう。


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人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。