日本でシングルマザーとして生活していくのは大変です。母親としてだけではなく、仕事をして家計を支える父親の役割も担わなければなりません。

特に日本は母子家庭に優しい国とはいえません。実際に「母子家庭の60%以上が年収200万円未満の貧困層」というデータがあります。

一方で海外に目を向けると、日本よりもシングルマザーが暮らしやすい国がたくさんあります。正規雇用に就きやすかったり、政府から手厚い支援があったりと母子家庭が貧困に陥りにくい社会になっているのです。

だからといって、「海外に行けばハッピーライフが待っている」というわけではありません。母子家庭で海外移住を考えているのであれば、「子育てしながらでも可能な正規雇用の仕事を見つける」「海外移住のメリット・デメリットの両面を知る」ことがとても重要です。

そこで海外に住みたいと考えているシングルマザーや、離婚して海外移住を考えているママたちのために「海外の子育て事情」「海外で正規雇用の仕事を見つける方法」「仕事内容や雇用条件」などについて詳しく解説していきます。

日本と海外の子育て事情の違い

日本と海外を比べたとき、「日本は子育てがしやすい国」とはいえません。私はヨーロッパで小さな子どもを2人育てていますが、日本に一時帰国するといつも肩身の狭い想いをします。

具体的には「電車で子どもが騒ぐと白い目で見られる」「マンションの下の住人から子どもがうるさいと苦情がくる」「ハイチェアのないレストランが多い」「街中ではエレベーターを探すのに苦労する」などが挙げられます。

一方で私が暮らしているオランダではこれらのいずれも当てはまらず、ストレスなく子育てができます。また子どもに対して寛容で親切なので、階段しかない場所でベビーカーを運ぼうか迷っていると、必ず周りの人が「手伝おうか?」と声をかけてくれます。また、公共交通機関やレストランなどで子どもが多少騒いでも笑顔で見守ってくれます。

海外では労働環境だけでなく、社会として子どもを育てやすい環境が整っています。もちろん不便なこともあります。例えば出先でトイレを探すのが大変です。ヨーロッパだと駅やお店のトイレは全て有料ですが日本ほど綺麗ではなく、ましてや子ども用のトイレはほとんど存在しません。

このように悪い面もありますが、総合的にみると日本よりも子育てしやすい環境の国はたくさんあります。

欧米の保育園代はかなり高いが、生後3か月から預けられる

そうしたとき、あなたがフルタイムの正規雇用に就いた場合に、最大の問題となるのが「子どもをどこに預けるか」という点です。これについて確認していきます。

まず、欧米諸国の保育園代は一般的にかなり値段が高いです。国によっては収入に応じて政府からお金が返ってきますが、日本のような「保育料の無償化制度」はありません。

私の友人はオランダで二人の子どもを保育園に預けてフルタイムで働いていましたが、税金と保育園代を差し引かれると手元に残るのは5万円程度だったそうです。「それなら子どもと過ごす時間が欲しい」と仕事を辞めました。

彼女の場合は旦那さんの収入が高いため、保育園代の補助が政府から受けられず、給与のほとんどが保育園代として消えていったと話していました。これは極端なケースですが、欧米では「毎月の保育園代が数十万円」というのも決して珍しい話ではありません。

そのため欧米で海外移住を考えている場合はその国の保育園事情についてよく調べておく必要があります。

一方で、欧米諸国の多くの保育園では生後三か月から子どもを預けることができます。産休が「産後12週」と定められている国が多く、産休を終えると職場に復帰する人がほとんどです。つまり生後3か月の赤ちゃんを預けて働き始めるのが一般的なのです。

そのため欧米諸国で働く場合、「子どもがまだ小さいから働くことができない」と心配する必要はありません。むしろ子どもの年齢が低い方が、より早く海外生活に順応できるというメリットがあります。

東南アジアでは保育園が安く、ベビーシッターも安価に雇える

一方でフィリピン・タイ・ベトナム・マレーシアといった東南アジアの国々は人件費がとても安いです。そのため安価にベビーシッターを雇うことができます。例えばフィリピンでは、月1万円程度払えば毎日つきっきりで子どもの面倒をみてくれるベビーシッターを雇うことができます。

ベビーシッターはあなたの自宅で子どもをみてくれるので、仕事前後に保育園や託児所へ送迎する必要がなく、時間を節約できます。「少しでも子どもと過ごす時間を確保したい」のであればベビーシッターを利用すると良いです。

また、食事・掃除などの家事を全て任せられる家政婦さんも同額で雇うことが可能です。ただし人の当たりはずれが大きいので、メイド・家政婦さん選びは慎重に進めなければなりません。

なお保育園に入れても問題ありません。日本のように入園待ちは存在せず、アポなしで見学し、翌日から入園させることが可能です。

欧米式の保育園は保育料が高いですが、現地の保育園なら格安のため値段は心配不要です。

母子家庭に適した求人のほとんどはアジア圏にある

ここまで世界の一般的な子育て事情を紹介しましたが、実際にシングルマザーに適した求人のほとんどはアジア圏にあります。

もちろん、あなたに何か特別なスキルや高いキャリアがあれば欧米で仕事を見つけることは可能です。ただ、「未経験でも挑戦できる仕事」「語学力がなくても就けるポジション」を含めて探しているのであれば、東南アジアを中心に仕事を探すと良いです。

また同じアジア圏の方が食生活の面や文化的にも、あなたと子どもの両方とも現地の環境に順応しやすいです。欧米になると人種や文化の違いに戸惑うことがあります。例えば、白人ばかりの学校の中にアジア人であるあなたの子どもが入ったとき、どうしても浮いてしまいます。子どもが学校に馴染めなければ、海外移住できたとしても幸せな生活とはいえません。

そのため、子どものことを考えても母子家庭ではアジアの求人が優れています。

適した業種はカスタマーサポート業と人材紹介業

それではシングルマザーが未経験・語学力不問で応募できる正社員の求人には、どのような業種があるのでしょうか。東南アジアで求人が多く、シングルマザーにおすすめの業種は、以下になります。

  • カスタマーサポート業
  • 人材紹介業

なぜ、これらの中途採用募集が母子家庭に優れるのでしょうか。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ライフワークバランスがとれるカスタマーサポート業

人件費や法人税の安いタイ・ベトナム・フィリピン・マレーシアなどの国々には、世界中からBPO企業が集まっています。BPOとは、他企業から外注された事務やデータ入力・経理・総務などの業務を請け負うことです。BPO企業の中で最も多い受注が「カスタマーサービス」です。

カスタマーサービスはインターネットさえ繋がればどこでも対応できる業務です。日本国内でカスタマーサービス部署をつくるよりも、東南アジアのBPO企業にカスタマーサービス業務を丸ごと外注した方がコストを大きく抑えられるのです。

そのためBPO企業には多くのカスタマーサービス業務の受注があり、日本人向けの求人が豊富に存在します。しかも、シングルマザーにも適した条件・労働環境で働けるのです。例えば、以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はマレーシア・クアラルンプールにある外資系BPO企業です。シンガポールに本社を置き、アメリカ・マレーシア・グアテマラなど世界中に事業展開しています。

ここで外資系大手企業から委託された「フードデリバリーサービスの問い合わせ対応」を行います。1日20~35件程度の日本人顧客からの問い合わせに対して電話やチャットで対応します。決して難しい仕事ではありません。

「カスタマーサポートとして働き続けるのはちょっと……」と思う方もいるかもしれませんが、チームリーダー・トレーナー・品質管理・人事・管理部門などへとステップアップが可能です。

応募必須条件は「スムーズにタイピングができること」のみであり、学歴・語学力・経験不問です。もちろん雇用形態は「正社員」です。

月給は19~31万円との提示があります。市内の家賃相場は3万円程度と生活費は安く抑えられます。さらに、ローカルレストランは1食150円で食べられるので、毎日食事作りに追われることもありません。

また、勤務時間は1日8時間で残業はほとんどありません。多くても「月に5時間程度」で残業代は全額支給されます。日本のように拘束時間が長かったりサービス残業を強いられたりすることはありません。

一方であなたの子どもが小さい場合は、フルタイムのベビーシッターを雇えば安心して働きに出られます。しかも、完全週休2日制(シフト制)であり、必ず連休が取れるよう調整されているので子どもとの時間もしっかり確保できます。

このようにBPO企業のカスタマーサポート業であれば、シングルマザーでも正社員として無理なく働けます。

女手一つで、がっつり稼げる人材紹介業

なお、東南アジアでは「日本に就職して外貨を稼ぎたい」という外国人が多く存在します。一方で日本には、「人手不足のため優秀な外国人を安く雇いたい」という企業の需要があります。これらを結びつけるのが人材紹介会社の仕事です。

そのとき現地で日本人のリクルーターが必要となるため、人材紹介会社の求人が存在します。例えば、以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はベトナム・ホーチミンにある人材派遣会社です。スキル・経験は一切問われない上、積極的にコミュニケーションが取れれば英語は話せなくても問題ありません。

まずは日本のオフィスで半年程度の研修を受け、その後ベトナムに赴任します。未経験でもイチから育ててもらえるので安心です。

具体的には日系企業からの求人の依頼に沿い、適したベトナム人を探します。現地の人材エージェントに問い合わせたりして面談を行い、マッチングした人を日本の企業に紹介します。採用契約成立後、日本への入国手続きをしたり、入社後のフォローをしたりするのも業務の一つです。

このような人材マッチングビジネスは利益率が高く、その分だけ給与も高くなります。この企業では月給27.5万円以上の提示があります。30代で年収900万円代、40代で年収1200万円以上稼いでいる社員も在籍しています。

ベトナムでは家賃相場が3~5万円であり、その中に光熱費やインターネット代はもちろん、ハウスキーピングサービス(部屋の掃除と洗濯など)まで含まれているのが一般的です。家事の時間を節約でき、あなたは仕事に集中できます。

また、外食費が安くローカルレストランは200円程度、高級レストランでも1000円程度で済みます。気軽に子どもと外食を楽しめるのも東南アジアで暮らすときの魅力ではないでしょうか。

さらに、これだけの収入があれば多少高額な保育園の利用やフルタイムのベビーシッターを雇うことも可能です。

人材マッチングサービスの仕事はカスタマーサポートよりもハードワークにはなりますが、「女手一つでがっつり稼ぎたい」という方にはこのようなポジションがおすすめです。

母子家庭の人がこれら両業種で働く魅力は、未経験・日本語のみで正社員として海外就職でき、日本でシングルマザーがパートで働く場合よりも高い給料がもらえることです。前述した東南アジアの国々では物価が日本の3分の1程度といわれているので、生活費が日本のようにかからず余裕を持って貯蓄できます。

また、ベビーシッターを雇えるので、あなたは仕事に集中できます。さらに、海外生活・海外勤務を通して英語を学べるので、英語力をビジネスレベル以上にまで上げればその後のキャリアアップも可能です。

母子家庭向け海外求人を見つける方法

転職サイトなどで求人を探すとき、「新卒」「未経験」などのカテゴリーが設定されています。しかし、その中に「シングルマザー」のカテゴリーはありません。「それなら海外転職はできないのでは?」と思うかもしれませんが、「ママ向けあるいは女性向け」のカテゴリーを選べば問題ありません。

小さな子どもがいるママでも働きやすい労働環境が整っていたり、女性に適した職種が紹介されていたりします。例えば以下のような求人が見つかります。

勤務先はフィリピン・セブ島にある日本語コールセンターです。経験やスキル・学歴は不問です。フィリピン勤務ですが、日本人を対象にしたコールセンターなので日本語のみで業務が可能です。また、年齢や性別も問われません。例えば、40歳で離婚してシングルマザーになったとしても応募できます。

研修や業務を通してビジネススキルを習得できるので未経験でも問題ありません。また仕事に慣れたら英語を学び、他の事業に携わる機会もあります。

ちなみにフィリピンは、シングルマザーの親子留学で人気の国でもあります。このとき「就職する前に英語を身につけたい」と親子留学を検討している方もいるかもしれませんが、これは時間の無駄でありおすすめできません。

この求人のように福利厚生に「英会話レッスン」が含まれている企業に就職すれば、働いてお給料をもらいながら同時に英語を習得できるからです。

そしてこの求人の大きな魅力は、求人票にも記載がある通り「フレックス勤務(始業・就業時間を自分で自由に決められること)や在宅勤務が可能」「海外で働くママのために、時短勤務OK」な点です。

このような働き方が認められている場合、あなたの子どもの状況に合わせて勤務時間を決められたり、子どもが体調を崩した場合に在宅勤務ができたりします。子育てと仕事の全てを一人でこなす「ワンオペ育児」でも周りに気を遣うことなく、子どもを優先して仕事ができるのです。

また、前述した通りフィリピンはベビーシッターを破格の値段で雇うことができます。あなたが働いている間も子どもの面倒はきちんとみてもらえるのです。シングルマザーにとって日本では実現できない理想的な働き方といえます。

一部の在宅ワークが認められている求人もある

さらに、海外のママ向け求人の中には在宅ワークを一部認めている企業が存在します。正社員として働くと、どうしても子どもと一緒に過ごせる時間が少なくなってしまいます。そうしたとき、在宅ワークができれば自宅で仕事をしながら子どもと過ごせる時間が作れます。例えば、以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はASEANを中心に事業を手掛けているタイ・バンコクにあるベンチャーの人材紹介会社です。人材紹介会社の営業担当として、求職者との面接や求人企業への紹介・入社後フォローなどに従事します。こちらも雇用形態は正社員です。

応募必須条件は「日本での就業経験が1年以上あること(業界不問)」「英検2級レベルの英語力」のみです。ここまで紹介した求人とは異なり、多少の英語力が求められますが、英検2級は「英語がペラペラ話せるレベル」ではありません。英語の基礎が身についていれば問題なくクリアできるレベルです。

また求人票に「週1回の在宅勤務」との記載がある通り、在宅ワークが認められています。外に働きに出るのは週4日間だけとなり、子どもに寂しい想いをさせずに済みます。

まとめ

日本でシングルマザーとして子どもを育てていくことは大変です。家事・育児を優先すると正社員として働くのが難しくなり、十分な収入を得られなくなります。一方で、東南アジアに海外就職すれば正社員で収入を確保しながら、ライフワークバランスの取れた働き方が実現できます。

BPO企業のカスタマーサービスや人材紹介会社では、経験や語学力がなくても正社員として就職できます。給与も日本と変わらない額が貰えます。東南アジアであれば生活費が日本のようにかからないので、貯蓄しながら余裕のある暮らしができます。

また、子どもの世話についてはベビーシッターを雇えば、つきっきりで面倒をみてもらえ、あなたは仕事に集中できます。

このように母子家庭に優しい国に海外移住すれば、シングルマザーであっても子どももあなたも幸せに暮らしていくことが可能です。

子持ちで海外移住を考えているのであれば、まずはアジアにて正社員の仕事を見つけることが最優先です。そのためには海外転職サイトに登録して、「ママ向け」「女性向け」の求人を探してみましょう。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。