「海外転職は英語が堪能な人のみチャレンジできる」と考えている方は多いと思います。しかし、実際に求人をみてみると日本語のみを使う求人はたくさんあります。
日系企業や日本人が多く住む国・地域のサービス業であれば、英語や現地の言語が話せなくても問題ありません。
実際、海外で出されている求人の中には、英語を話せない日本人であっても大丈夫な中途採用募集がたくさん出されています。もちろん注意点はありますが、正しく求人を確認すれば海外で働くことができるのです。
ここでは、実際に募集されている「語学力不問の求人や日本語のみを使う海外求人」を見つけるポイントについて説明していきます。
もくじ
日本人が多く住む国・エリアなら、日本語のみで生活可能
まずは仕事を始める以前に、「日本人が英語や現地の言葉を使わずに海外で日本語のみで生活できるのか」という疑問に答えていきます。
これについては、海外でも日本語のみで生活していけるエリアがあります。特に日系企業が集中しているエリアでは、多くの日本人が現地で生活しており、お店でも日本語が通じたり、道に迷った場合でも通りすがりの日本人に助けてもらえたりします。
たとえば、以下はベトナム・ホーチミンの日本人街です。海外ではあっても、このように日本語があふれていることはよくあります。
またあなたに子どもがいる場合、このような国や地域に行けば日本人学校が設置されていることもあるので、日本語中心で教育を受けさせることも可能です。
さらに、日本人がある程度生活している国であれば、「日本人コミュニティー」が存在します。日本人コミュニティーの一員と友達になると、次から次に日本人の友達を紹介してもらえるため、あっという間に現地の日本人の友達が増えます。
現地スーパーの利用法から日用品の選び方・日本食が手に入るスーパー、ネット通販、おいしいレストラン情報など日本人が生活する上で欠かせない情報を教えてもらえます。
このような情報をシェアしながら日本人コミュニティーに入って生活していると、外国でも快適に過ごせるでしょう。
語学不問でも、日本人コミュニティーに頼り過ぎてはいけない
ただし、日本人コミュニティーに頼りすぎてしまうのは要注意です。その理由として、例えば以下のケースが挙げられます。
- その国での永住者の日本人を除いて、基本的に人の入れ替わりが激しい
- 深く付き合い過ぎると面倒な場合がある
- 日本語のみの生活に慣れてしまい、語学が上達しない
例えば駐在員の場合、数年で日本あるいは他国への転勤になることがほとんどです。現地で生活する日本人と仲良くすることはいいことですが、頼り過ぎてしまうと、その友達が帰国になったときにかなりの精神的ダメージを受けてしまいます。
また、国にもよりますが日本人コミュニティーの中にはヒエラルキーが存在し、見栄の張り合いや面倒な行事に付き合わなければならないこともあります。家族も含めて、ほどほどに付き合うのが理想です。
そうした中でも、私が最も注意すべき点は「語学が上達しない」ことだと思います。不自由な言葉を使って必死にコミュニケーションを取るよりも、日本人と仲良くする方が楽で居心地もいいものです。しかし、これでは結局、英語や現地の言葉を全く習得できません。
「海外で生活すれば、語学力は自然に身につく」と考えている方が多いかもしれませんが、それは違います。確かに日本での生活よりは、外国語を聞いたり話したりと触れる機会は多いですが、自分で勉強しなければ母国語以外の言語は決して上達しません。
たとえ日本語のみを使う仕事が見つかり、日本人が多く住む街で生活したとしても、英語あるいは現地の言葉を習得するのは必須です。
英語が話せない日本人は、現地スタッフからなめられる
また、他にも問題があります。ヨーロッパにある、私の主人が勤めている日系企業には、多くの日本人・外国人を含めた現地スタッフが働いています。主人はよく、「英語がきちんと話せない日本人は現地スタッフ(外国人)になめられる」と話しています。
確かに私自身、これは身を持って経験しています。海外に移住してすぐのころボランティアに参加したのですが、英語が上手く話せず自分より年下の立場の学生に、なぜか指図されました。不満を伝えることもできず、悔しかったのを覚えています。
そもそも日本人は実年齢よりもかなり若く見られやすいです。その上に英語がきちんと話せないと、外国人に頼りない印象を与えてしまうのです。
私の場合は悔しい経験がきっかけで「英語を早く習得しなければ」と必死に勉強して、今では全く問題なく外国人とコミュニケーションできるまでに上達しました。
「日本語しか使わない職業を希望しているから、英語を習得する気はない」という姿勢は止めた方がいいです。たとえ業務では英語を使わないとしても、現地スタッフとのコミュニケーションを取り、現地の生活に溶け込むためには英語が必須です。さらに英語圏でない国に赴任する場合、英語に加えて現地の言葉を習得する必要があります。
日本語のみで海外で働く場合に求人を探すときの注意点
それでは、どのような場所(国・地域)に語学不問の中途採用があるのでしょうか。
世界的に日本人が多く住む場所として、ニューヨーク(アメリカ)・ロンドン(イギリス)・パリ(フランス)などが挙げられますが、これらの都市に日本語のみで挑戦できる求人がたくさんあるかというとそうではありません。
むしろ、アメリカやイギリスは就労ビザの規制が厳しいため、そもそも求人を探すこと自体が難しい国です。また、フランスの場合は国民性として、フランス語が話せない人に対してオープンではありません。したがってフランス語が堪能である場合を除いてフランスでの求人探しは厳しいです。
また、これらの国では永住している日本人が多いため、日本で求人を募集しなくても現地で人材が集まります。
一方で、ドイツ・デュッセルドルフやシンガポール、タイ・バンコクは日系企業が集中しており、英語が話せなくても海外転職しやすいエリアです。
デュッセルドルフは私も滞在したことのある都市ですが、日本人でも言語に不自由なく暮らせると思います。街中で日本語の看板をみかけ、ドイツ人に日本語で話しかけられることもありました。
「デュッセルドルフにはヨーロッパの拠点を置く日系企業が多いため、多くの日本人が生活している」「日本のアニメや漫画ファンのドイツ人が集まってくる」などが背景にあります。
参考までに、以下は実際のドイツ・デュッセルドルフの街並みです。
ただし、ドイツ全土が英語・ドイツ語が話せない日本人にとって求人を見つけやすい国であるかというと、そういうわけではありません。「日本人が多く住んでいる国=日本語だけで仕事が見つかる国」ではないのです。
もちろん転職時は「どの国のどのエリアに住むべきか」までを絞る必要があります。このとき、日本人の数だけで判断しないことも重要です。例えば、国土が大きいアメリカや中国に日本人が多く住んでいるのは、ある意味当然のことです。それよりも日系企業の数や駐在員の数を確認して判断すると良いです。
実際に転職サイトに掲載されている語学不問の求人票とは
ここでは、実際に転職サイトに掲載されている英語不要の求人や語学力を問われない職種について紹介していきます。このとき、同時に日本語のみでも生活しやすい都市を選ぶといいです。
例えば、以下はシンガポール・タイ(バンコク)・インドネシア(ジャカルタ)・香港で募集している塾講師の求人案内です。
4年制大学を卒業していることに加えて職歴が2年以上あれば、語学不問・未経験でも応募できます。小学生や中学生が相手のため、大学時代に家庭教師や塾講師などの経験がある人なら誰でも中途採用に応募できます。
特にアジアであれば、こうした英語力不問の求人が多い傾向にあります。さらに、英語を話せない状態でも生活しやすい国・都市が多いです。
他には、以下の求人はタイ・バンコクで日本人の生活をサポートする営業の仕事です。
営業経験があると望ましいですが、営業経験がなくても3年以上の社会人経験があれば応募できます。求められる言語はネイティブレベルの日本語のみです。
勤務地は日本人が最も多く住んでいるエリアなので、英語やタイ語を話せなくても安心して生活できる環境が整っています。校舎は日本人居住エリアに立地しているため、生活しやすく治安面においても安心です。
ヨーロッパや北米も中途採用求人が存在する
ただ、アジア以外になると英語不要な求人は数が少なくなります。しかし、スイス・イタリア・カナダといった国でも語学力不問の中途採用が存在します。
例えば、世界各地に店舗を持つ会社の以下の中途採用がこれに該当します。
日本のラーメン店の海外責任者候補の募集であり、オープン準備から関われます。アルバイトなど何かしら飲食業界での経験があれば応募できます。3~6ヶ月間、日本で接客・調理・数字管理の研修を行い、その後に海外で活躍する流れです。もちろん、配属先の国の希望は聞いてもらえます。
現地にはパートナー企業の通訳スタッフや日本人の現地スタッフがいるため、生活面でもサポートしてもらえます。
ただし、スイスやイタリアなどのヨーロッパは日本語のみで生活していくのは厳しいです。渡航後に現地の言葉や英語を習得する覚悟が必要です。
一方でカナダの中でもバンクーバーであれば、現地に住む日本人や日本からの留学生がたくさん生活しているため、日本語のみでも生活できるエリアといえます。
アメリカ・ハワイなど英語力不問だとチャレンジ不可のエリアもある
しかし、中には英語力不問の求人が存在しない地域もあります。例えば、「日本語だけで生活していけるエリア」として多くの方が思い浮かべるのはハワイではないでしょうか。ハワイは日本人から非常に人気であり、毎年多くの観光客が訪れます。
ちなみに、以下は私がハワイへ出向いたときの様子です。
また日本から永住して暮らしている日本人も数多くいます。旅行した方なら分かると思いますが、ハワイ(特にオアフ島のホノルルなど観光客が多く集まるエリア)では英語が話せなくても不自由しません。
しかし、残念ながらアメリカ・ハワイの就労ビザを持っている場合を除いて、英語不要の求人はまず見つかりません。どうやっても、語学力が必要になるのです。
例えば以下の求人内容は、ビザのサポートがある上、未経験でも挑戦できるものです。
食材をレストランやお弁当屋に届ける会社のアシスタントマネージャーの募集です。発注管理やシフト管理・売上報告・顧客訪問などの仕事を担当します。特に資格や経験などの応募条件は記載されていません。ただし使用言語が「英語/日本語」の表記があるため英語は必須です。
「どうしてもハワイで海外転職したい」というのであれば、やはり英会話の練習をして英語力を身につけてから応募する必要があります。英語を話せない場合、日本語のみの求人を見つけられない国も存在するのです。
働きながら英語を学べる求人が存在する
しかし、国によっては英語を学びながら働ける求人を募集していることがあります。こうした中途採用であれば、現時点で語学力がなかったとしても将来的には英語を話せるようになります。
例えば、以下の求はマレーシアで未経験からでも挑戦できるカスタマーサポートの求人案内です。
コールセンター業務やメール・電話でのカスタマーサポート、日本語や英語を使った問い合わせ対応などが主な業務内容です。応募の時点では英語力は問われません。というのもこの求人には、福利厚生に「英語力アップのレッスン」が含まれているからです。働きながら、会社のお金で英語力を身につけられます。
北米やヨーロッパを含め、語学力が求められる求人に挑戦したい場合、まずはこのような求人に応募しましょう。そうして英語力を向上させた後に、よりあなたの希望条件に合う海外転職を検討してみる方法があります。
留学や現地に居住してから海外転職を考えるより合理的で、お金も時間も節約できます。なお、こうした英語を学びながら働ける求人は基本的にアジアになると考えましょう。また、シンガポールやマレーシア、香港、フィリピンなど英語が広く話されている地域であれば語学力はより上達しやすくなります。
語学・言語が苦手な方は、転職サイトを通じて海外転職の求人を探すべき
それでは、英語を話せない人は、どのようにして海外求人にチャレンジすればいいのでしょうか。語学が苦手な方はまず、海外の求人を専門に取り扱う転職サイトに複数登録して求人を探してみましょう。あなたの頭の中で「こんな所で働いてこんな生活を送りたい」と想像するのではなく、実際に求人内容を見てみるが重要です。
実際に求人を確認すれば、「英語不問で応募できる職種には、どのような仕事があり、どのような条件が求められ、どんな生活を送ることになるのか」といった具体的なイメージが目に浮かんでくるようになります。
また、あなたが希望する求人が見つからなかったといって、海外転職の夢を諦める必要はありません。
例えば前述したアメリカ・ハワイの例のように、ハワイで語学不問の求人が見つからなかったとしても、他の国で英語を身につけながら働ける求人が見つかれば問題ないです。そして語学力を磨けば、時間はかかりますがハワイで働ける道は開かれます。
さらに、転職サイトには日々求人の募集が入ってくるため、たとえ希望する求人が見つからなかったとしても、後日に転職エージェントの担当コンサルタントが知らせてくれます。
転職サイトの担当コンサルタントにあなたの希望条件を伝えておけば、あなたが探している内容の求人が新しく入ってきたとき、メールや電話などで知らせてくれるのです。
このような転職サービスを上手く活用していき、語学力に不安がある日本人でも応募できる中途採用をチェックするようにしましょう。このとき3社以上の転職サイトを活用すれば、いろんな角度で英語不要の求人を紹介してもらえるため、より海外転職の成功確率が高まります。
まとめ
英語が話せなくても海外に転職することは可能です。実際、未経験で語学不問の海外求人が存在します。ただし求人を探す際には、生活するエリアや現地の言語を習得する必要性などをきちんと調べましょう。
また、日本人コミュニティーが充実しているエリアは語学ができない日本人にとってとてもありがたい存在ですが、頼り過ぎてはいけません。
せっかく海外で働くのであれば、たとえ英語不要の仕事に就く場合でも英語を習得する努力は惜しまないことが大切です。そうでないと現地スタッフからなめられたり、自分に自信が持てなかったりして気持ちよく仕事が進みません。
これらを認識したうえで、複数の転職サイトに登録して求人を探すといいです。実際に日本語のみの募集を確認することで、どのような海外転職を実現すればいいのか分かるようになります。
海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。
ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。
しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。
人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。