海外で働くことを考えたとき、ホテル業界は求人を見つけやすい場所です。特に日本人観光客の多いエリアでは、日本語がネイティブであり日本人へのおもてなしがきちんとできるホテルスタッフは需要があります。
そのため英語が得意でなかったり、現地の言葉が話せなかったりしても就職できます。また、ホテルでの経験が求められないことも多いので「海外で転職を考えているけど手に職があるわけではない」「海外で未経験からでもできる仕事を探している」という方に、ホテルへの就職はおすすめです。
特にホテル求人だと、リゾートホテルで働くことも可能です。そうした求人だと、リゾート地でのんびり勤務できるようになります。
そこで、ここでは海外のホテル業界へ転職する際のメリット・デメリットや、実際にどのような求人が存在するのかを紹介していきます。
もくじ
海外のホテルへ転職するメリット・デメリット
まずは、海外のホテルへ転職するメリットを紹介します。メリットとしては以下の4つが挙げられます。
- 住居・食事が付いている
- 1年中旅行気分を味わえる
- 英語が得意でなくても働ける
- ホテルでの経験を問われないケースが多い
それぞれ詳しくみていきましょう。
・住居・食事が付いている
多くのホテルの求人では福利厚生に住居が付いています。さらに3食の食事まで含まれていることがあります。居住費・食費がかからなければ、生活費をかなり抑えることができるためメリットが大きいといえます。
・1年中旅行気分を味わえる
海外のホテルで日本人の求人があるのは観光地です。特にビーチリゾート地では一年中暖かい気候の中で、美しい海やヤシの木を眺めながら仕事ができます。
例えば以下はバリ島にある高級リゾートホテルでの一コマです。
こうした場所で宿泊客をおもてなすことができます。旅行好きの方にとって、職場が観光地なのは魅力的です。
・英語が得意でなくても働ける
海外の企業で働く場合、ビジネスレベルの英語が求められることがありますが、ホテルの求人の多くが「日常会話レベルの英語力」です。日常会話レベルであれば、日本でオンラインの英会話教室に通えば短期間で身につけられます。
また、ホテルで使われる単語は決まっています。仕事場のシーンで使われる英文のフレーズをインプットすれば、仕事上で困ることはないでしょう。
私自身、英語が話せるようになって気づいたことは「使っている単語や言い回しのバリエーションが少なくても会話はできる」ということです。日常会話で使う単語やフレーズの基本パターンを押さえておけば会話は成り立ちます。
したがって「英語が苦手だからホテルで働くなんて無理」と躊躇する必要はありません。
・ホテルでの経験を問われないケースが多い
ホテルで働く場合、特別な専門知識や資格は不要です。フロント業務に関しては基本的な流れをつかめば難しい仕事ではありません。後に紹介する求人票をみても分かると思いますが、未経験からでも挑戦できる求人が数多くあります。
海外のホテルで経験を積んで、ホテル業界でキャリアアップを進めてもいいですし、語学能力やコミュニケーション能力・マネジメントスキルを身につけて海外で別の業界へ転職することもできます。
このように海外で過ごすことに興味はあるけれど、海外経験が少なく、語学能力の高くない方にとってホテル業界でキャリアを積んでいくことは魅力的だといえます。
ここは注意!海外のホテルに転職した場合のデメリット
ここまでメリットについて紹介してきましたが、ホテル業界に就職する上でのデメリットについても知っておく必要があります。デメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 少人数体制で働く必要がある
- 週休1日のところがある
- 給与が少ない
それぞれ詳しくみていきましょう。
・少人数体制で働く必要がある
海外のホテルではフロントの人数が日本ほど多くありません。日本はとにかくおもてなし精神に優れた国ですが、海外では日本ほどサービスに力を入れません。
もちろん5つ星クラスのホテルは別ですが、4つ星クラス以下であれば海外でホテルサービスへの過度な期待は止めておいた方がいいです。
私もヨーロッパで初めて4つ星ホテルに宿泊したとき、サービスレベルの低さに驚きました。まず、部屋にバスタブは付いておらずシャワールームのみで、シャンプーやリンスは置かれていませんでした。
4つ星ホテルでもドライヤーやセーフティーボックスが置かれていないことはよくあります。
また、ホテルの規模の割にフロントの人数が少ない点も日本のホテルとの大きな違いです。そのためチェックアウトの時間には列ができ、待たないといけません。
「サービスに力を入れない=少人数体制でホテルを運営している」といえます。
そのため、一人一人の仕事の幅や量が日本のホテルよりも多くなる可能性があります。ただしその分、業務範囲が広がり短期間でホテル業務の幅広い仕事をこなせるようになります。
・週休1日のところがある
日本国内の求人で「週休1日」はあまり目にしないと思います。サービス業の中には週休1日のところもありますが、一般的ではありません。
しかし、海外ホテルの求人では「週休1日」は珍しいことではないのです。これは前述した、「ホテルが少人数体制をとっている」こととも関係しています。
一方で、週休1日にもメリットはあります。お金を使う機会が減るため貯金が増えるといった点です。
ただ、海外のホテルの求人は週休1日のみというわけではありません。体力に自信のなない人や「休日はプライベートな時間を充実させたい」という人は週休2日の求人を探すようにしましょう。
・給与が少ない
一般的に海外で募集のあるホテルの給与は低いです。特に、東南アジアの貧困国では月給が10万円を切ることも珍しくありません。
ただ、現地の物価も低いので「生活していけない」というわけではないです。例えばカンボジアでは平均月収が月2万円弱のため、月5万円の収入でもわりと裕福な生活を送れます。また、前述したように住居や食事が含まれているので実際にもらっている給与は高いといえます。
なお、これらのデメリットはネガティブに捉えられる一方で、「短期間で経験を積んでキャリアアップできる」という優れた面もあります。
「海外で就職したいけど語学が苦手だし、自分が海外で働けるか分からない……」「語学能力を短期間で身につけてキャリアアップしたい」という方にホテル業界はおすすめです。
海外のホテルやリゾート地の求人を紹介
それでは実際に海外のホテルで募集のある求人を紹介していきましょう。
まず紹介するのは、ベトナムのハノイで日本人専用ビジネスホテルのオープニングスタッフ募集の求人票です。
まだオープンしたばかりの日本人専用ビジネスホテルです。ハノイの日本大使館から徒歩5分の立地にあるため、治安上の心配も要りません。フロント業務を中心に日本人ゲストのリクエストやクレーム対応、日本のおもてなしを提供していきます。
サービスの向上や業務の効率化といったマネジメントに関わる業務も担当します。このホテルの場合、ゲストの大半が日本人なので英語やベトナム語ができなくても問題ありません。
また、ホテル業務の経験も問われません。応募資格は「年齢が40歳まで」「日本語が話せること」のみです。英語やベトナム語が問われないので40歳までの日本人であれば誰でも挑戦できます。
福利厚生には住居費、1年後の日本往復交通費(飛行機代)も含まれています。
ただし、休日・休暇は月5日と記されており、週休1日程度と考えておきましょう。
東南アジアのリゾートホテルで働きたい方におすすめの求人
また都市部の求人に限らず、東南アジアではリゾートホテルでの求人がたくさんあります。基本的にリゾートホテルの求人としては、東南アジアばかりだと考えるようにしましょう。
以下は大西洋に浮かぶ島、南国パラオで1年中リゾート気分を味わいながら働ける求人案内です。
パラオにあるリゾートホテルで、主に日本人ゲストのフロント接客対応、予約受付業務、館内案内を担当します。また、オプショナルツアーの紹介やゲスト滞在中のアシスト、雑務などホテル業全般に関わります。
こちらの求人では住宅・1日3食・光熱費など充実した福利厚生が含まれています。その他オプショナルツアーを社員価格で申し込むことができ、休暇時はリゾートアクティビティを楽しめます。
ただし、週休は1日です。また、勤務開始から1年後に日本への一時帰国航空券代は支給されます。
応募条件は「社会人経験のある方」「日常会話レベルの英語力」のみです。運転免許があればなお良いとのことです。
ヨーロッパのホテル求人も存在する
前述のように、リゾート地を含めホテル求人の多くは東南アジアに存在します。ただ、場合によってはヨーロッパのホテル求人も存在します。
例えば以下は、世界25か国のホテルへ異動が可能な求人です。
この求人ではフロント業務ではなく調理職を募集しています。勤務地は北海道を含む世界25か国以上です。ヨーロッパ・アメリカ・アジアからカリブ海にあるリゾート地まで約80ケ所のリゾートホテルを運営しており、様々な場所に異動できます。
また、オフの日には、ビーチリゾート・マウンテンリゾート・スノーリゾートまでスポーツやアクティビティが楽しめます。
仕事内容としては、ホテル内のビュッフェレストランで調理を担当します。同僚は世界中に約2万人働いており、国籍だけでも100ヶ国と非常にインターナショナルな環境で勤務することになります。
また、こちらの求人の特徴として1ケ所での固定勤務ではなく世界中のリゾート地をまわるため、世界中を旅行しながら働ける点が挙げられます。世界を旅行しながら語学力・国際経験・料理人としてのスキルまで身につけられる魅力的な求人ではないでしょうか。
応募資格は「調理経験1年以上」のみです。語学力や調理師免許は必須ではありません。
こちらの求人も週休1日ですが、1日当たりの勤務時間は7時間未満です。リゾート内に寮が完備されており、食事も含まれています。また、バーの利用もOKですので、仕事終わりにリゾートホテル内のバーで疲れを癒すことも可能です。
週休2日勤務のホテル求人もある
ここまで週休1日の求人ばかり紹介してきましたが、「週休1日では体が休まない」という方もいるでしょう。ただ、当然ながら週休2日の求人も存在します。
以下の求人はインドネシアのチカラン(首都のジャカルタから車で1~2時間程度)のところにあるホテルでの求人です。
仕事内容は日本人を含めた宿泊対応・フロント業務・ローカルスタッフの管理や指導・バックオフィスの管理や指導などです。業務内容は多岐に渡るため、短期間で海外経験を積むことが期待できます。
応募資格は「日常会話レベルの英語」のみです。入社後、インドネシア語を習得する意欲があれば評価されます。
ちなみにインドネシア語は世界で最も簡単な言語といわれています。発音が簡単なため聞き取りやすく、文字は英語と同じアルファベットです。英語のような過去形や現在完了形といった時制や名詞の複数形も存在しないため複雑な文法を覚える必要はありません。
英語よりもインドネシア語の方が習得しやすいといえるでしょう。
一流ホテルでの管理職の募集も存在する
続いて紹介するのはシンガポールの一流ホテルでの管理職の求人案内です。以下のように、管理職であっても中途採用が出されます。
シンガポールは新しい国でありながら、アジアの中でも目覚ましいスピードで成長している経済大国です。安定した経済力、世界競争力のあるシンガポールに移住したいと実際、日本人を含め多くの外国人が移住しています。
高いレベルの教育が受けられることや子育てしやすい環境が整えられていることなどから、日本から家族で教育移住を目指す方も少なくありません。
そのためシンガポールでは年々ビザの取得が難しくなっており、未経験で応募できる求人はあまり見かけないのが現状です。
こちらの求人の場合、応募資格として「1年以上ホテル業界でカスタマーサービスの経験」「コミュニケーション能力」「シフトでの勤務が可能」「Opera(ソフトウェア)を使用できる」の4つが必須になります。
仕事内容はフロント業務・レストラン業務から営業や企画業務までホテル運営にも携わります。
日本国内のホテルで顧客サービスの経験が1年以上あれば応募することができます。「将来性のあるシンガポールで働きたい!」という方は、日本のホテルである程度経験を積んでからシンガポールの求人に応募するという方法もあります。
また週休2日なので、2連休のときはシンガポールの近隣諸国であるマレーシアやタイ・ベトナムなどに簡単に旅行できます。
実際、東南アジアでは格安航空が発達しており、「シンガポール – クアラルンプール(マレーシア)」「シンガポール – バンコク(タイ)」であれば往復1万円ほどの航空券となります。
まとめ
海外でもホテル業界への転職であれば、比較的応募しやすい求人が多いことが分かってもらえたと思います。語学力やホテルでの業務経験は求められないケースが多いです。
海外ホテルに転職すれば一人で幅広い業務をこなすようになり、出勤日が多いことから短期間で国際経験のキャリアを積むことができます。
その後、別の業界にステップアップすることも可能です。海外で働くための入り口として海外ホテルへの転職はおすすめです。
ただ、こうした求人を見つけるには転職サイトを活用するといいです。前述した通り、求人によって週休1日であったり、福利厚生に食事が含まれていたりします。また、給与も大きな差があります。そこで、転職サイトを活用し、多くの募集の中から希望に合った求人を見つけましょう。
海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。
ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。
しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。
人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。