一度は「海外の工事現場で働いてみたい」と考えたことはないでしょうか。そうしたとき、海外転職できるのは「英語がペラペラで高学歴の人材のみ」「建築士や技術士などのエリート向けの求人しかない」と思っている人が多いかもしれません。

しかし、現場での経験があれば、海外転職では学歴や語学力は問われません。あなたに熱い想いがあれば海外転職を実現できます。ただ「給与は〇万円以上」「この国がいい」など全ての希望を満たす仕事を見つけるのは難しいです。

そこで、あなたの中で「ここだけは譲れない点を絞り、それ以外は妥協できる」という気持ちを持って海外転職に臨めば就職先は見つかります。

実際のところ、日本の土木現場で土方・大工として働き、経験と腕を持っていれば海外でも需要があります。このとき、さらに現場監督や管理者としての経験・資格があればハイポジションへの就職も可能です。

ここでは、海外の建設・工事現場で働きたいと考えている人に向けて、海外勤務を成功に導く転職術や雇用形態・応募条件について詳しく述べていきます。

現場で働くため、ビザの問題を解決する

海外転職は、やみくもに進めても上手くいきません。そこで成功へと導く転職術を紹介します。

まず海外で働く上で大きな壁となるのが就労ビザの問題です。就労ビザとは、「外国人がその国で働いてもいいという許可証」のようなものです。その国の就労ビザを保持していなければ、現地で働くことはできません。

そうしたとき、海外でも日本人向けの求人サイトは存在します。ただし、現地で採用される場合、就労ビザを取得していることが前提となります。例えば以下の求人がこれに該当します。

勤務地はアメリカ・ニューヨークにある建設事務所です。ここで、施工管理業務のアシスタントを募集しています。主に施工管理事務を担当します。

ただし、応募条件を見てみると「英語を話せる」「就労可能」と記載があります。「就労可能」とは就労ビザを既に保持していることを意味します。ただ、アメリカであなた自身が新規に就労ビザを取得するのは非常に難しいです。

現地の求人サイトは、「既にその国で生活している日本人を対象」としているので、英語の話せない人や就労ビザを持っていない人は応募すらできません。

そこで、日本の転職エージェントを活用します。転職サイトが紹介してくれる求人の場合、「ビザ取得サポート」が含まれています。就職先の企業がスポンサーとなってあなたの就労ビザを取得してくれるのです。例えば、以下の求人を見てみましょう。

勤務先はフィリピンにある日系大手建設会社の子会社です。ここで改修工事の管理・監督のポジションを募集しています。

求人票には「ビザ申請費用:会社負担」との記載があります。ビザのサポートはもちろん申請費用まで会社が負担してくれるのです。

つまり、就労ビザを持っていない状態でも求人に応募でき、採用されれば就労ビザがもらえます。このように日本の転職エージェントを活用すれば、煩わしいビザの問題に頭を悩ませることなく、就職後も業務に集中できます。

英語に無知でも何も問題ない

また現場で働く人だと、英語力を心配する人も多いです。しかし、建設作業員の場合、基本的に高い語学力は問われないです。なぜなら求人を募集しているのはほとんどの場合、海外進出している日系企業だからです。

実際の求人票を見てみるとそれがよく分かります。

ニュージーランドにある建設会社で大工を募集しています。ニュージーランドの建築現場で住宅新築・改築の大工仕事を担当します。

応募必須条件は「大工経験」「最低限の英語力」「運転免許」「チャレンジ精神」があることのみです。学歴・語学力共に問われません。月給は21~31.5万円(1ニュージーランドドル=70円で算出)との提示があり、日本での給与と大きく変わらないのではないでしょうか。

ちなみにこの求人に記載されている「最低限の英語力」とは、英語をペラペラ話せる必要はなく、簡単な会話ができればOKです。

「簡単な英会話も自信が無い」という人がいるかもしれませんが、中学校で習った文法を復習し、基本的な会話の例文を覚えて英会話の練習をすれば最低限の会話は誰でもできるようになります。

土方や現場監督の場合、求められるのは英語力ではなく、日本で得た経験とスキルです。そのため、「英会話に自信がない」「英語が話せないから海外勤務は無理だろう」と考えずに、海外転職に挑戦してみるといいです。

英語に関しては学ぶ意欲さえあれば、内定をもらってから勉強しても間に合います。

海外勤務の土木現場の求人を紹介!

日本の現場で建設作業員としての経験を持ち、スキル・知識を身につけていれば海外転職は可能です。そうしたとき、「なぜ現地スタッフではなく、日本人の職人を求めるのか」疑問に思う人もいると思います。その理由としては以下の2つが挙げられます。

  • 職人精神とバイタリティがあるから
  • 日本の高度な技術を持っているから

それぞれ実際の求人票を見ながら詳しく解説していきます。

職人精神とバイタリティがあるから

日本のような職人気質のある建設作業員を海外で探すのは難しいです。特に海外では「仕事は仕事」と割り切ってクールに考える人が多いので、日本人のように情が厚かったり、実直な姿勢で取り組んだりできる職人は少ないです。

例えば私はいま海外に住んでいますが、以下は現地の職人に仕事を依頼したときのやり取りです。

要は時間になっても来なかったので問い合わせたわけですが、「いま遅れている」とメールが来ました。海外の現場作業員だと、約束の時間に現れなかったり、急に予定を2日後に変更したりするのは普通です。

「時間を守る」「スケジュール通りに工事を終わらせる」ことができる日本人の職人は貴重な存在なのです。

そのため、「職人精神とバイタリティを持つ人材を採用したい」という日系企業が存在します。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はアメリカ・ロサンゼルスにある日系商業物件などを中心に改装・内外装・メインテナンスを行っている会社です。

ここで「住宅の改増築」「店舗デザイン・設計・施工」「カスタム家具製作」などに従事します。建築からデザイン・設計にも携わることができます。応募必須条件は「店舗の内装工事全般が出来ること」のみです。この求人も語学力や学歴は問われません。ただし、英語を学んでいく姿勢は重要です。

また求人募集理由として「日本のガッツあるガテン系の方が圧倒的に少ないので」との記載があります。このように日本人の職人は海外において貴重な存在なのです。

ちなみに、日本で募集がある海外求人の中で「アメリカ・ロサンゼルス」という好立地な条件はほとんどありません。アメリカは世界中から労働者が集まり、その中でもロサンゼルスは人気のエリアだからです。

このような場所でもあなたのスキルを活かした転職先があるのは恵まれているといえます。

日本の高度な技術を持っているから

日本人は手先が器用で丁寧に仕事ができます。例えば私がヨーロッパの家に住んで驚いたことの一つとして、「見た目(壁の色や間取りなどのセンス)は良いのに、細かい内装は非常に雑」という点が挙げられます。

例えば私の家は、部屋と部屋の間には以下のように隙間があって造りが雑です。

また、タイの高級タワーマンションに住んでいる友人の家の床は一部が浮き上がっていました。日本の家では考えられませんが、やはり内装を手掛ける職人さんの腕が違うのだと考えられます。

実際に海外で日本の内装業者は需要があります。以下の求人を見るとそれがよく分かります。

勤務先はシンガポールにある建築内装業者です。この企業は日系企業ではありません。しかし「日本人の優れた感性と技術を取り入れて高い品質につなげたい」と日本人の内装・建築現場責任者をそれぞれ募集しています。

仕事内容は「顧客との打ち合わせ」「現場チェック」です。応募条件は「3年以上の経験」「基本的英語力」です。

雇用条件は年俸制で720~800万円と高額なので、年収アップも期待できます。さらに交通費と住居費が別途支給される高待遇です。

日本での内装・建築の経験と高い技術を身につけていれば高い需要があり、このような高待遇の求人にも応募できます。

現場での管理経験や資格があれば、海外就職先は大きく広がる

また土方だけでなく、あなたに現場での管理経験があれば就職先の選択肢は大きく広がります。施工管理を含め、マネージャー業務を行うことができるからです。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務地はミャンマーです。発展めざましいミャンマーで現地スタッフと共に土木事業に携わります。応募条件は「土木施工管理経験3年以上」のみです。

年齢・学歴・語学力は問われません。ただし、管理者として現地スタッフとコミュニケーションをとる機会があるので、転職後に英語を学習する意欲は必要です。

資格があれば、海外で大規模案件に携われる

さらに「一級土木施工管理技士」の資格を保持していれば、海外で一般道路やダム・トンネルといった大規模なインフラ工事を担当できます。そのため応募できる求人の幅が広がります。

例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務地は東南アジア・トルコ・メキシコ・アメリカ・パナマなど様々です。海外の土木工事作業所で土木工事案件(ダム・トンネル・道路など)の施工管理業務を担当します。

応募必須条件は「土木工事の施工管理経験」「一級土木施工管理技士」「日常会話レベル以上の英語力」であり、現地スタッフをまとめる管理者のポジションになると、このように一定以上の英語力を求められることがあります。

なお求人票によると、年収は500~1100万円と年収アップも期待できます。日本で十分な経験を積み、資格を取得すればこのような高待遇で大規模プロジェクトに携わることができるようになります。

海外はライバルが少なく、キャリアアップが明確になる

なお、海外転職を目指せばキャリアアップが明確になります。日本であれば、高卒だと転職が難しかったり、上のポジションに就けるのは大卒者のみだったりします。

一方で海外に出てしまえば、あなたの学歴や前職は関係なくなります。また、ライバルも少なくなるためキャリアアップを図りやすいのです。

例えば以下の求人では将来的に所長のポジションに就くことも可能です。

勤務地は北米・インド・アフリカ・東南アジアなど様々です。舗装・土木工事の現場で工程・安全・品質・原価等の管理業務を担当します。

具体的には顧客との打ち合わせをしてプロジェクトの書類を作成し、工程・安全・品質・原価などの管理を行います。土木施工管理経験があれば難しい仕事内容ではありません。

応募必須条件は、「土木施工管理経験が3年以上」「一級土木施工管理技士」です。この企業の平均年収は928万円と記載があるので、要件さえ満たせば転職するだけで高収入を目指せます。また、ここで経験を積んでいけば後々、所長のポジションにまで昇進が期待できます。

このように、現場での管理経験や土木関係の資格を持っていれば就職先の選択が大きく増えます。また年収アップ・キャリアアップのチャンスもあるのです。

まとめ

あなたが今漠然と「海外で働いてみたい」と考えているのであれば、その夢を実現するのは簡単です。土木関係の職業で現場作業に携わっているなら、求人がたくさんあるからです。

実際のところ英語については、内定が決まって現場配属になってから勉強しても十分間に合います。たとえ英語が話せなくても職人としての精神と腕があれば、日本人は海外で活躍できます。

さらに日本の工事現場で管理者としての経験があれば、就職先の選択肢は大きく広がります。「一級土木施工管理技士」の資格があれば、高収入でのキャリアアップも目指せます。

もちろん管理経験や資格が無かったとしても問題はなく、海外転職へ挑戦する意義は大きいです。

海外転職では学歴・語学力は問われません。あなたの職人精神と腕が評価の対象となります。自信を持って海外の求人へ応募し、挑戦してみましょう。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。