旦那さんの海外赴任や海外転職が急に決まり、戸惑いを感じる家族は多いです。まずは「帯同するべきかどうか」という大きな選択に迫られることでしょう。実は私自身、同じ経験をしてきました。どちらにもメリット・デメリットがあり、簡単に決められることではありません。

例えばあなたが働いている場合、退職してついていくのか、それとも休職するのかという選択肢があります。さらには仕事を続けたまま、あなたと子どもだけ日本に残るということも可能です。子育てに関しても大きく悩むところです。

ここでは旦那さんの海外転職や海外転勤に伴い、家族が抱える様々な悩みの解決法を解説していきます。どのような選択肢があり、どうすれば家族として最もハッピーに過ごせるのか、私の経験も交えながら説明していきます。

夫の海外赴任・海外転職に帯同するべきかどうか

急に夫の海外赴任や海外転職が決まると、家族は人生の選択を迫られます。中には海外赴任先・転職先の国が想定していた国と違うため、帯同に躊躇することもあるでしょう。

私自身、夫の海外赴任先が決まったとき、覚悟はしていたものの急激に不安になったことを覚えています。私の場合は、帯同するメリットの方が断然大きいと思えたので一緒に渡航する道を選びました。

まず帯同する場合のメリットについて考えてみると、大きく以下の3つが挙げられます。

  • 語学力を磨ける
  • 新しい経験ができる
  • 家族と過ごす時間が増える

海外で生活すると旦那さんだけではなく、あなたを含め家族全員の語学力が磨かれます。英語が公用語の一つとして使われている国であれば、日常的に英語に触れるので、生きた英語を身につけられます。

また、現地で子どもをインターナショナルスクールに通わせれば子どもは自然に英語がペラペラになります。企業によっては教育費を全額または一部負担してくれるので、日本では通わせられないような高い学費のアメリカンスクールやブリティッシュスクール(年間数百万円が一般的)に入学させられます。

さらに海外で暮らすことは、あなたと家族に新しい世界を見せてくれるチャンスになります。例えば、日本を出るとそれまで気づかなかった日本の良さ・悪さに気がつきます。日本で当たり前だと思っていたサービスは海外では有料だったりします。一方で、海外だと周りの視線を気にせず伸び伸びと暮らせることに気づきます。

また、海外で暮らすと価値観も大きく変わります。視野が広がり、新しい世界が見えてくるのです。

ちなみに、海外で生活すると飲み会や会社の付き合いなどが日本より確実に減るので、家族で過ごす時間が増えます。また友達付き合いでは家族ぐるみでの交流が増えます。一緒にBBQをしたり旅行に出かけたりホームパーティーを開いたりと、家族で友人を交えながら楽しい時間が過ごせます。

また、休暇には家族で海外旅行に行ける点も大きなメリットです。日本は島国なので海外旅行となると時間もコストもかかりますが、例えば東南アジアやヨーロッパへの赴任では週末に海外旅行も珍しくありません。

帯同する場合のデメリット

続いて帯同した場合のデメリットについてです。以下の2つが挙げられます。

  • あなたのキャリアが中断される
  • 子どもの教育問題

旦那さんと帯同することになると、せっかく築いてきたこれまでのキャリアを中断しなければなりません。職種によっては一度離れてしまうと再就職が難しい場合もあります。帯同した妻が海外生活に馴染めず、退職したことを後悔するケースも珍しくありません。

また中高生の子どもがいる場合、受験問題に悩まされる人が多いでしょう。「数年以内に日本に戻る可能性が高い」という場合、子どもを日本に残した方が賢明なケースもあります。一方で、「帰国子女枠を狙って受験する」という選択肢もあります。

経済的には「帯同しない」方がお得

それでは、帯同しない場合についても考えてみましょう。実は、経済的な面を考慮すると「帯同しない」という選択肢もアリです。

会社の辞令で海外赴任が決まったケースであれば、帯同しなかった場合、貯蓄に回せるお金は大幅に増えます。「生活費が単純に2倍かかるから貯蓄できないのでは?」と考える人がいるかもしれませんが、その逆です。

なぜなら基本的に会社は、帯同しないで日本に残る家族に対して「留守手当」を支給するからです。例えば私の夫の会社の場合だと、給与の70%を留守手当として支払います。つまり単純に給与が1.7倍になるのです。

さらに、あなたがそのまま仕事を続けた場合はWインカムとなります。また海外赴任の場合、旦那さんは国内給与と海外給与が支給されるので国内勤務よりも収入はかなり上がります。さらに70%の留守手当が支給されれば、たとえ2重生活となっても世帯年収は大幅にアップするのです。

もちろん会社の方針次第ですが、「子どもの学費のために十分な貯蓄をしておきたい」「老後の資金に備えたい」という場合は、帯同しないという選択肢も一つです。

・子育てはワンオペ育児を覚悟

ただしあなたも子どもも帯同しない場合、ワンオペ育児を覚悟しなければなりません。特に、子どもが小さい場合、父親のいない生活に慣れてしまうと子どもが「お父さん」として認識しなくなってしまう危険性があります。

実際に、「旦那さんが海外で働いていて母子は日本で生活している」という状況の私の知り合いは、旦那さんが日本に一時帰国すると子どもが人見知りをするようになってしまい、慣れるまでに毎回時間がかかるそうです。

また旦那さんが海外へ戻るとき、お子さんが「また遊びに来てね」と笑顔で見送ったそうですが、旦那さんはこれにかなり傷ついてしまったと聞きました。子どもからするとお父さんは「たまに遊びに来てくれるおじさん」という人にすぎないのです。

・健康面の問題

また、旦那さんが単身海外赴任になると健康面での心配が必要です。特に寒さの厳しい国に単身で渡ると、うつ病などの精神疾患を発症するリスクがあります。

このように帯同するかしないか、それぞれメリット・デメリットがあります。何を優先したいのかをよく考えて結論を出すようにしましょう。

夫の海外転勤が決まった妻のベストな退職時期は?

帯同を決めた場合、次に「いつ渡航するべきか」という悩みに迫られます。私自身、夫の海外赴任が決まり、旦那の渡航日は決まっていたのですが、私はどうすればいいのか悩みました。

渡航先の季節を考慮して厳しい冬が終わった春がいいのではないか、私の勤務先のボーナスが支給された後がいいのではないか、など様々なことを考慮して最終的に年末を選びました。

冬のボーナスが支払われ、住民税の支払い義務が発生しない12月31日までに出国するのが最も賢明な選択肢だと判断したからです。

年収によりますが、住民税(税率10%)は毎年結構な金額を納めています。しかし住民税は1月1日時点で住所のある市町村へ支払い義務が発生するので、年末に住民票を抜けば納税する必要はなくなるのです。

子どもがいる場合は学校の新学期に合わせたり、同時に渡航したりするという選択肢もあります。

退職ではなく、休職も選択肢の一つ

また、企業によっては旦那さんの海外赴任期間中、休職制度を利用することが認められています。帯同してキャリアを中断するものの帰国後にまた職場復帰ができます。

ただし、一般的に休職期間は2年間です。私の知り合いにも休職して帯同している奥さんがいましたが、「同期はどんどんキャリアアップしているのに自分は何もできず不安」と話していました。結局、旦那さんが2年で帰国にならなかったため退職したそうです。

また、休職するつもりでいたものの海外生活を経て価値観が変わり、退職するケースもよく聞きます。

海外で夫婦共働きも可能

ここまで、帯同する場合はキャリアが中断されると前述しましたが、あなたが海外で就職すればキャリアを築いていくことができます。特に、あなたにスキルや経験があれば海外転職は難しくありません。

私の知り合いも旦那さんがロンドンに海外転職し、帯同した奥さんがすぐにロンドンで仕事を見つけていました。彼女は外資系コンサルティング会社で働いていたので、ロンドンでも同じ職種に就いていました。

一方で、「特別なスキルはない」「英語が苦手」などの理由で海外転職を諦める人もいるでしょう。そうした時、日系企業や日本食レストランであれば、スキルや語学力がなくても応募可能な海外求人があります。特にアジア圏であれば豊富な職種の選択肢があります。

例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はタイ・バンコクのコールセンターです。日本顧客の受注受付・返品・問い合わせ対応に従事するので日本語のみで業務を遂行できます。

未経験・語学力ゼロでも応募できる求人です。ワーキングマザーも多数在籍しているので、子育てしながら働くことも可能です。

このようなカスタマーサポートの求人は、タイ以外にも様々なアジア諸国で見つけることができます。

また、日系企業で事務職のポジションもおすすめです。日系企業であれば社内スタッフ、顧客も日本人であることが多く、語学力は重要視されません。事務作業は特別なスキルが不要なケースが多く、未経験からでも挑戦できます。

例えば以下のような求人がこれに該当します。

ベトナムにある日系企業で営業事務職を複数名募集しています。「社会人経験が3年以上」「日常会話レベルの英語力」で応募可能です。

日本のゲームソフトやアプリのテスト業務を行うため日本語が中心となります。ベトナム人スタッフとのやり取りで日常会話レベルの英語力は求められますが、海外で生活していればこのくらいの英語力は簡単に身につけられます。

その他、アシスタントや秘書といったポジションも海外求人を見つけやすいです。このように海外で夫婦そろって働けば、Wインカムとなり貯蓄しながら経済的に余裕のある暮らしが実現できます。ただし、旦那さんの渡航先によっては、就労ビザの問題や日本人向けの求人が少ないなどの理由で求人を見つけるのが困難なこともあります。

まずは渡航先に求人があるかを調べてみましょう。複数の海外転職サイトに登録して、あなたが応募できる求人をピックアップしてみるといいです。

まとめ

旦那さんの海外転職・海外赴任が決まり、帯同するかどうか悩んでいる場合、まずはそれぞれのメリット・デメリットを紙に書き出してみることをおすすめします。

さらに、あなたの家族が最も大切にしたいと思えることを優先して、どうするか決めましょう。もし帯同することを選択したら、休職するのか退職するのか、渡航時期はいつにするのかについても決める必要があります。

参考までに、私の個人的意見としては海外に帯同して、現地で就職先を探すのが理想的です。家族全員が海外で様々な経験を得られるチャンスだからです。

また子どもの教育面でも優れています。私の渡航先は英語圏ではないものの、第二言語として英語が広く話されているため、子どもは英語がペラペラです。渡航前に日本からでも求人は見つけられるので、まずは海外転職サイトを利用して探してみるといいです。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。