ゲームが好きで転職を考えていたり、既にゲーム会社で働いているけど「海外就職したい」と考えていたりする人がいると思います。ゲーム会社は世界中にあり、日本人のゲーマーや技術者を欲しがっている企業は多数存在します。

そのため海外転職を実現するのはそれほど難しくありません。ただし、職種によっては高度な技術や語学力が必須となる求人となります。

一方で語学力があれば、未経験でも応募できる求人が存在します。そのため日本の違う業界で働いてきた場合でも、海外転職をきっかけにゲーム会社に就職することは可能です。

こうした海外のゲーム業界で就職を考えたとき、技術職から一般職まで幅広い職種の求人があります。ここでは、海外のゲーム業界で日本人の需要がある職種について紹介していきます。

ゲーム業界未経験でも、英語力があれば日本人求人がある

「日本のゲーム市場に参入したい」「日本で成功を収めたい」と考えるゲーム会社は、世界中に存在します。そのため日本人を対象とした職種の募集があります。例えば、以下の求人が存在します。

  • ゲーム製品の日本語翻訳
  • 日本向け製品の制作マネジメント
  • 日本人顧客のカスタマーサポート
  • ゲーム製品の品質管理

それぞれ見ていきましょう。

ゲーム製品の日本語翻訳は英語力が必要

海外のゲーム製品を日本で売り出す場合、日本語バージョンの作成は必須です。説明書やゲーム内のセリフの翻訳だけではなく、キャラクターの名前も日本人になじめるように翻訳していく必要があります。

ちなみに私が住んでいるオランダでは、ゲーム製品が英語のまま発売されているものが多く存在します。オランダ政府が子どもの英語力を向上させるため、必要以上に翻訳しないように推奨しているそうです。

九州ほどの面積の国なのでマーケットが小さく、翻訳にコストをかけられないという事情もあります。ただ日本の場合、英語バージョンのままで発売しても受け入れられません。さらにはマーケットが大きいため、翻訳する価値が十分にあるのです。

そのため日本語翻訳の求人が存在し、翻訳業務の場合だと以下のような募集があります。

勤務先はマレーシアにあるゲーム開発会社です。主な業務は通訳・翻訳であり、「メール・書類の日訳と英訳」「会議通訳」「現地の管理業務」などに従事します。

仕事上、英語力が求められますが、ゲーム会社での就労経験や翻訳・通訳経験は必須ではありません。そのため、異分野・異業種からのチャレンジも可能です。

日本市場に詳しければゲーム制作マネジメントがおすすめ

また、ゲーム制作のマネジメントというポジションの求人も見られます。これには日本向けゲーム製品の開発のため、制作の段階から日本のコンシューマーゲームあるいはソーシャルゲームに詳しい日本人ディレクターを採用したいという考えがあります。

例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はタイにあるゲーム制作スタジオです。ゲーム制作会社での経験は必須ではありませんが、ディレクター業務などの経験があると優遇されます。

「何か専門的な技術があるわけではないけど、英語が得意で日本のゲーム市場に詳しい」という人はこのような求人を探すといいです。

日本人にしかできない日本人顧客のカスタマーサポート

海外のゲーム会社が日本で製品を発売する場合、製品の翻訳以外にもアフターケアなどカスタマーサポート部門が必須となります。

「日本語の話せる現地スタッフでもいいのでは?」と思うかもしれませんが、日本人精神を持って日本語でカスタマーサポートができるのは、やはり日本で育った日本人に限られます。

私が海外に住んでいるとつくづく感じますが、日本のサービスは世界一です。海外では「お客と従業員は対等」という考えの国も多く、従業員は「あなたのために働いてあげている」という認識さえあります。そのため、高いサービスは期待できないのが普通です。

一方で日本はお客の立場が圧倒的に強く、気持ちの良いサービスが提供されます。これだけサービスの質が異なると、やはり日本の文化を理解している日本人でないと満足のいくカスタマーサポートを提供するのは難しくなります。

つまり日本語が話せて、日本のサービスを提供できる日本人はそれだけで海外で需要があるのです。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務地はヨーロッパの地中海の中央にある美しい島、マルタ共和国です。イタリアのシチリア島に近いですが、イギリス領なので公用語は英語です。ここでオンラインゲームのカスタマーサポートを担当します。

ただカスタマーサポートの経験は問われません。入社後に研修があるので未経験でも安心して応募できます。

品質管理により、ゲームプレイを仕事にする

中にはゲーム製品の品質管理というポジションの募集もあります。「品質管理であれば、日本人である必要はないのでは?」と思うかもしれませんが、主な業務はバグの修正だけではありません。日本語のチェックも重要な仕事です。

例えば日本で人気のゲーム「ポケットモンスター」は海外でも子ども世代から大変人気がありますが、海外版のタイトルは「ポケモン」です。ポケットモンスターは英語で違う意味があり下ネタとなってしまうため、「ポケモン」というタイトルに変更して販売されています。

これと同じように海外のタイトルをそのまま日本語訳にした場合、意味が変わってしまったり日本人に響きが悪かったりと、日本人の感覚で修正しなければならないケースがあります。そこまで含め、品質管理を担当するわけです。

また日本向けゲームとして、機能の追加などにより日本人プレーヤーが楽しめるように品質を高めていくのも品質管理に求められます。

ゲーム製品の品質管理であれば以下のような求人があります。

勤務先はベトナムにあるゲーム制作会社です。ここでゲームの品質管理スタッフを募集しています。具体的には「ゲームを実際にプレイし問題点を報告」「日本語のチェック」に従事します。ゲームをプレイしてバグの修正を行うので、ゲーマーにとっては楽しい仕事です。

応募必須条件は「勤続3年以上の社会人経験」「中級レベル以上の英語力」「マイクロソフトオフィス系ツールの操作ができる」ことのみです。未経験からでも挑戦できます。

また求人票にもキャリアパスが具体的に示されており、品質管理であればスキルを身につけていくことが可能です。

このように日本市場を狙う海外のゲーム会社は、いくつものポジションで日本人を採用したいと考えています。このとき日本語・英語ができれば、未経験でも問題ありません。海外のゲーム業界で「新たな職種にチャレンジしたい」という方は、このような職種を選ぶと良いです。

日本の優れた技術を取り入れたい外国企業は多い

一方で技術職の求人も多いです。日本のゲームは世界中で人気があります。私が住んでいるヨーロッパの国でもプレイステーションやNintendoなどの新製品の発売日は多くの人が店先に並び、売り切れることも珍しくありません。

このような背景から「ゲーム開発・制作に携わる日本人の優秀な技術者を迎え入れて、商品力を高めたい」と考える海外のゲーム会社が数多く存在します。当然、日本でのヒットも視野にいれています。

そのため、日本市場を熟知している優秀な技術者を欲しがっています。この場合は、これまでの経験やスキルが必須となります。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先は台湾にあるゲーム会社です。いくつもの作品で賞を獲得している会社であり、さらに製品のクオリティーを高めるため日本人ゲームデザイナーを募集しています。

仕事内容は「ゲーム提案・企画」「ゲーム運営・イベント設計」「ステータスの分析・改善」などです。ゲーム好きには満足度の高い「ゲームづくりにイチから参加できるクリエイティブな仕事」です。

ただ技術職のため、応募条件として「Adobe Photoshop・Illustratorなどグラフィックアプリの経験」「日本のスマホサービス・ゲームアプリに詳しい」など専門知識が求められます。ゲームデザインに関する専門知識をはじめ、語学力・日本のマーケット事情などマルチなスキルと知識が求められます。

英語が苦手でもスキルがあれば問題ない

なお、ここまで紹介してきた求人はいずれも語学力が求められるものばかりでした。一方で、「ゲーム関連のスキルはあるけど語学力に自信がない」という方もいるでしょう。その場合、技術職であれば通訳が在籍しているゲーム会社に就職すれば問題ありません。

例えば経験のある技術者であれば、以下のような求人があります。

ベトナムにあるWeb・アプリ・ゲームの企画と開発を手掛ける会社で、システムエンジニアとアートディレクターを募集しています。どちらも3年以上の経験が必要です。

これまでの経験とスキルが求められますが、社内に通訳がいるので語学に関しては不問です。語学力でのストレスにさらされずに済みます。ただ、英語を学べる環境があるので「今は英語が苦手だけど、これから語学力を伸ばしていきたい」という方にはピッタリといえます。

さらに、SE・アートディレクター共に月給は「約16.5~33万円」との提示があります。月給とは別に賞与・住宅手当・昼食支給があり、年に一度給与査定があるので年収は徐々に上がっていきます。

日本で働くより給与は下がってしまうかもしれませんが、物価の低いベトナムで生活する場合は日本よりも余裕のある暮らしができます。

日本ではあまりない仕事に就ける

また海外のゲーム業界に転職する場合、カジノ関連の求人など日本ではあまり馴染みのない仕事に就職することもできます。

カジノ分野で日本は世界に遅れをとっています。国内の場合だと求人が少ないですが、海外に目を向ければチャンスがあります。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はフィリピンにあるカジノ向けゲーム開発会社です。

ここで、「カジノ向けスロットマシンの企画立案・制作業務」「確率計算」「フィリピン技術者のマネジメント」を担当します。仕事内容からは高度な専門技術は求められないことが分かります。

求人票には「カジノ・パチスロ・パチンコが大好きな方優遇」との記載があります。あなたの好きなことが仕事につながるのです。また海外のカジノ分野で経験を積めば、日本であなたの希少価値が高まるので日本に帰国してからキャリアアップがスムーズになるメリットがあります。

まとめ

海外のゲーム関連企業に就職したい場合、未経験の職種・業界だと英語力は必須となります。もしあなたに中級レベル以上の英語力があるのであれば、「ゲームの通訳・翻訳」「制作マネジメント」「カスタマーサポート」「品質管理」といった職種を検討してみると良いです。

一方で、経験・スキルのあるゲーム開発SEやゲーム制作技術者の場合は、海外で高い需要があるため通訳付きの求人も存在します。そのため語学力は問われず、日本語のみで業務が可能です。

このように海外のゲーム業界で転職を考えている場合、様々な選択肢が存在します。応募条件を満たす求人をリストアップしてチャレンジしてみましょう。このとき、少しでも可能性を広げるために、複数の転職サイトに登録することをおすすめします。

ゲーム好きのあなたがゲームを仕事にできることは幸せなことです。転職により、海外生活という夢も同時に叶えることが可能です。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。