「海外インターンシップから現地就職を狙いたい」「英語が得意じゃないし、とりあえず海外インターンに参加してみよう」と考えている人は多いです。
しかし、結論から述べるとインターンシップに参加するなら海外就職を狙う方が賢明です。
その理由として、以下が挙げられます。
- お金も時間もかからない
- 働いた分だけ給料がもらえ、そのままあなたのキャリアになる
- 求人が豊富にある
- 転職が自由にできる
- 無料でビジネス英語が身につく
インターンシップは就職先とのミスマッチを減らし就業体験を積む上では貴重ですが、あなたの最終目的が「海外で働くこと」であるなら、インターン参加ではなく直接就職することをおすすめします。
ここでは、なぜインターンシップより海外転職が賢明なのかについて詳しく解説していきます。
もくじ
インターンシップの参加は無料ではない!むしろ結構なコストがかかる
確かにインターンシップの活用では、あなたの希望する国・職種で就業先を見つけるのは簡単かもしれません。しかも有給インターンシップは多く、生活費を自分で稼ぐことも可能です。
例えば以下のようなインターン求人を見つけて心を躍らせる方もいるでしょう。
勤務地はアメリカ・ニューヨークです。インテリア雑貨メーカーのマーケティング・営業部門に配属されます。そこでインテリア雑貨の提案・受注・出荷・請求から展示会への出店、顧客フォローなどに従事します。
時給は1540円(1ドル110円で算出)と決して悪くありません。インターン期間は1.5年なのできちんと教育してもらえれば、それなりに就業経験を積むことができるでしょう。
ただし、前述した通りインターンシップへの参加費用はタダではありません。こちらのインターン専門エージェントの場合、アメリカ有給インターンシップコース(1.5年間)だと約77万円の参加費用がかかります。
このプログラムの中には応募手続きの代行や必要書類の作成・面接対策なども含まれています。
また、アメリカの場合だと1.5年間のインターンシップに参加するには「J-1ビザ」が必要になります。J-1ビザの申請にも当然費用が発生し、だいたい44~55万円程度かかります。以下は実際に出されている価格表になります。
つまりインターンシップを申し込むだけで120万円以上もの出費が必要なのです。さらに渡航費用・居住費・食費などを支払うと、いくら有給インターンとはいえ、手元にお金はほとんど残らないでしょう。
海外就職してしまえば、ビザ申請費用から渡航費まで自己負担なし
一方で海外就職を選べば、ほとんどの企業でビザの申請費用から渡航費まで会社がサポートしてくれます。例えば以下の求人は、同じアメリカでマーケティングマネージャーの求人内容です。
勤務地は日本からほど近いアメリカ・グアムです。常夏リゾート地にある最大級のリゾートホテルでプロモーション全般を担当します。映像制作の立会いからSNSコンテンツ制作・アナリティクス・管理・取材立会い・広告・マーケット開拓など幅広くプロモーション活動に従事します。
求人では年俸300~350万円との提示があります。また、就労ビザ取得支援・社宅・各種保険完備が福利厚生に含まれています。
インターンシップのように参加費やビザ申請費にあなたのお金をつぎ込む必要はありません。応募条件は「英語と日本語の双方で意思疎通ができる」「英語での読み書きができる」のみです。
特に高い語学力が求められるわけでもなく、年齢についても不問です。
インターンからの就職は稀!就労ビザのサポートは期待できない
なおインターンシップを申し込む方の中には「そのまま企業に就労ビザのスポンサーになってもらい、就職したい」と期待している人も多いと思います。
確かにインターン求人の中には以下のように「就労ビザサポートの可能性」を記載している求人も見られます。
勤務地はアメリカ・シアトルです。旅行会社でトラベルコーディネーターとして予約手配や問い合わせ対応を行います。
応募条件は「日常会話レベルの英語力」「Word・Excelの基本操作ができる」「日本での社会人経験がある」のみです。就労期間は12~18カ月ですが、「就労ビザサポートの可能性アリ」との記載があります。
ただし、これはあくまで可能性であって必ず就職できるわけではありません。例えば1.5年がむしゃらに働いても最終的に「採用できません」と言われれば、有無を言わずに日本に帰国しなければならないのです。
実際に私の友人もアメリカの有給インターンシップに参加し、そのまま就職することを望んでいました。しかし結局、企業が就労ビザのスポンサーを拒否したのでビザを貰えず渋々日本に帰国していました。
このような不確かな可能性に、時間・お金・労力をつぎ込むのはもったいないといえます。
海外転職であれば、就労ビザの心配は不要
一方で、海外転職の求人であれば「就労ビザを貰えない」というトラブルは避けられます。就労ビザがなければ、そもそも正社員として日本人を採用することができないからです。例えば以下の求人では同じ旅行業界でマネージャー候補を募集しています。
勤務地はスイスです。ヨーロッパアルプスを中心とした日本人向け旅行の現地手配業務を中心に担当します。
こちらの求人の場合は最初から長期就労が前提です。応募条件は「ビジネスレベルの英語力」「旅行関連での就労経験や旅行関係の資格を保持している」「Word・Excelがビジネスレベルで使用可能」です。
月給は約25~30万円(1スイスフラン120円で算出)との提示があります。さらに寮が完備されているので居住費はかかりません。
また、「就労ビザは会社で取得」との記載があるため、取得費用やビザが下りるかといったことは心配不要です。このように、本採用されるか不確定な1.5年間のインターンシップに参加するよりも、長期就労前提の海外求人に応募し、就職してしまった方が賢明と言えます。
海外インターンの場合、30代以上では申し込めない求人もある
また、インターンシップの場合は、年齢制限が設けられている求人も存在するので注意が必要です。例えばワーキングホリデービザ(ワーホリビザ)でインターンシップに参加する場合は「30歳まで」という年齢制限がかかります。
特にワーホリビザでのインターン求人の多いイギリス・オーストラリア・カナダ・フランスといった国を希望している場合、ビザの種類をよく確認しましょう。
もちろん海外就職の求人にも年齢制限が設けられていることがあります。ただ、年齢不問の求人を多く見つけられますし、30代前半であればほとんど引っかかることはありません。
つまりインターンシップよりも、海外転職の方が「条件が緩い」ともいえます。
インターンではなく海外転職の求人は豊富にある
このとき海外就職とインターンシップを比較すると、「インターンの方が、求人は簡単に見つかる」と考えている人は多いです。しかし、実際には逆です。正しい方法で求人を探せば、海外就職の求人を探すのは難しくありません。
むしろあなたが思っている以上に求人は豊富に存在します。
ここでいう「正しい方法」とは「複数の海外転職エージェントを利用する」ことにあります。ただ、エージェントによって強みとしている国や職種・業界が違います。そのため、1つのエージェントに絞らずに複数のエージェントに登録することをおすすめします。
特にアジア圏は求人が多い
そうしたとき、海外求人の中でもアジア圏は「日本との時差が短い」「税制上の優遇措置がある」「人件費が安い」といった理由から日系企業の進出が盛んです。日系企業であれば常に一定数の日本人の需要があるため、求人案件は豊富に存在します。
そこで、実際に海外転職求人とインターン求人の内容を比較してみましょう。
・シンガポールで正規雇用の求人を比較してみる
アジアの経済大国ともいわれるシンガポールは、公用語に英語が含まれる国際国家です。貿易業が盛んなため、貿易事務の求人は比較的容易に見つかります。例えば以下のような求人です。
仕事内容は「受注管理(欧米・台湾・中国・日本からの注文を受けて日本に発注」「納期管理」「輸出書類作成」「簡単な経理事務」などです。
ちなみに経理の経験を積むと、その後の海外転職において非常に有利になります。特に日系企業では日本人の経理担当者を募集している求人を頻繁に見かけます。
また、応募条件は「営業事務サポート経験」「ビジネスレベルの英語」「貿易書類作成経験」があることです。給与は約22~30万円/月(1シンガポールドル85円で算出)であり、さらにボーナス(1か月分以上)が別途支給されます。
・インターンシップ求人の場合
一方、同じシンガポールで貿易事務業務を含んだインターンシップの募集があります。
様々な事業を展開する会社で営業やマーケティング・リサーチ・販路開拓・展示会出店サポートなどに従事します。応募条件は、「初級から中級の英語力を保持していること」です。
また、インターンの期間は半年間です。給与については記載されていませんが、正式な雇用形態ではないので前述の企業ほどの給与は期待できないでしょう。
このように海外転職とインターンの求人を比較すると、インターン参加よりも直接就職の方が、労働条件は良いことが分かります。
英語圏にこだわらなければヨーロッパでも求人は多い
また、英語圏にこだわらなければアジア以外にヨーロッパで仕事を見つけるのも難しくはありません。例えば以下は営業事務としてヨーロッパで就職することが可能な求人です。
勤務地はチェコ・プラハです。日系商社で営業事務・マネージャーフォロー全般に従事します。チェコ語を話せる必要はなく、英語がビジネスレベルであれば応募可能です。
月給は16万円程度(1チェコ・コルナ5円で算出)です。交通費や携帯電話・パソコンは支給されます。また物価が安いので生活には困りません。さらに、就労ビザ取得のサポートも会社がしてくれるのでビザに関する心配も不要です。
インターンから現地就職のチャンスを探るよりも、このような企業に就職してしまった方が最短ルートでキャリアを築いていくことが可能です。
一度就職すれば転職しやすい
また、海外では日本よりも転職が一般的です。1~2年ほどで転職し、転職のたびにキャリアアップするのが普通なのです。そのため、ある程度のキャリアを積み、かつ就労ビザさえ持っていれば関連業界や職種に転職することは簡単です。
そのためインターンシップなどで1年ほど勤務するくらいなら、海外求人へ応募して勤務したほうが圧倒的に有利です。インターンだと経歴になりませんが、正社員での就職ならキャリアになります。
さらに採用する企業としても、現地の実情を知らない人材を日本から採用するよりも、その国で働いた経験があり、さらに就労ビザを既に持っている日本人を採用する方がコストを抑えられます。
さらには長期働いてくれる可能性があるため、積極的に採用したいと考えます。
海外インターンシップで英語を身につけるのは間違い?!
一方で、海外インターンに参加する人の大きな目的の一つとして「英語力を高めたい」ということが挙げられます。確かに英語圏の大学に留学したりするよりもコストを抑えられますし、有給で働けば生活費くらいは稼ぐことができます。
ただし、インターンの求人は「英語力ゼロ」の状態では受け入れてくれない企業が多いです。例えば以下のインターン求人をみてみましょう。
カナダにある物流会社で一般事務員を募集しています。期間は1年間です。物流部門での事務作業から書類作成、電話・メール対応などに従事します。
応募条件は「物流分野での就労経験があること」に加え、「中級レベル以上の英語力」が求められます。「英語が全く喋れない」「日常会話程度」ではインターン求人に応募すらできないのです。また、物流分野での経験も求められます。
一方で、以下は海外転職の求人です。同じ物流業界でカスタマーサービスのポジションです。
勤務地はタイです。日系の物流企業で顧客貨物の輸出入の手続き・見積作成・損益管理など幅広い業務に従事します。応募条件は「日常会話レベルの英語力」のみです。初級レベルの英会話なら、日本にいる間にオンライン英会話などを利用して身につけられます。
また、未経験から物流業界・貿易事務の経験を積めるので、その後の転職においても有利です。月収は21万円との提示があり、パフォーマンスに応じて昇給していきます。
仕事で英語を使っていれば自然とビジネス英語は身につきます。また、現地で語学学校に通ったり語学レッスンを受けたりする方法もあります。タイであれば英語教室に通ったとしても日本のようにコストはかかりません。
英語無料レッスン付きの求人ですら存在する
さらに、海外求人の中には福利厚生に「英語無料レッスン」を提供している企業も珍しくありません。給料をもらいながら無料で英語力を向上させられるのです。
例えば以下のような求人がこれに該当します。
勤務地は英語公用国として知られるフィリピンです。マニラあるいはセブ島でテクニカルサポート業務を担当します。フィリピン人IT担当者と共に社内ネットワークや顧客のPCセットアップを行います。
応募条件は「日常英会話レベル」「45歳まで」「ネットワーク・Windowsの知識がある」です。ITに関する高度な専門知識や資格は求められないので「ITエンジニアを目指したい」という人にもおすすめです。
月給は13.2~18万円との提示がありますが、頑張り次第で駐在員待遇にまで昇給可能です。
さらに福利厚生には「無料英会話レッスン」が含まれています。業務で使用しているうちに英語力は上がりますが、レッスンを受けることでさらに上級レベルを目指せます。
特に職種・国に限らず、アジア圏内ではこのような英会話レッスンサポートのある求人は豊富にあります。インターンシップを通して英語力を改善するよりも、海外転職して働きながら英語力をアップさせる方が効率的といえます。
まとめ
元々期間に限りのある大学生にとっては、海外インターンシップへの参加は有意義な就業経験につながるといえます。
ただ、「海外就職したい」「英語力を向上させたい」という場合はお金・労力・時間をつぎ込んで海外インターンに参加するよりも、最初から海外転職を狙った方が合理的です。
働いた分だけお金がもらえ、勤務した年数はそのままあなたのキャリアにつながり、自然とビジネス英語を身につけることができます。また、「就労ビザが下りないから結局日本に帰国しなければいけない」といった事態を避けられます。
さらにキャリアを積めば、あなたが希望する国での転職のチャンスも狙えます。海外転職求人を海外インターンと比較すると理解できたかと思いますが、海外転職の求人は意外と豊富に存在し、応募条件のハードルもそこまで高くないのです。
そのため海外インターンを検討している人は、まず海外転職サイトの求人を確認することをおすすめします。
海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。
ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。
しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。
人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。