海外で働きたいと考える理由は人それぞれです。「キャリアアップ」「グローバルな人」を目指す人もいれば、「貧しい子ども達を助けたい」「発展途上国の人々の生活を豊かにさせたい」といった社会貢献を目的として海外転職を考える人もいると思います。

そうしたとき、求人探しは前者の方が圧倒的に簡単です。通常の海外転職の場合、利益を得ている企業へ就職することになり、求人が豊富にあるからです。

それでは国際協力を目標に海外にある孤児院やNPO・NGO団体に就職するにはどのようにすればよいのでしょうか。国際協力が可能な海外求人はあるのでしょうか。

ここでは国際協力についてどのように求人を探し、どのような仕事に就くのかについて詳しく説明していきます。

いきなり海外の孤児院で求人は見つからない

まず理解しなければいけないこととして、あなたが「海外の孤児院で求人を募集していないか」と調べても求人は見つかりません。「人が足りているから」という理由ではなく、そもそも孤児院は何かで利益を得ているわけではなく、政府のサポートや国際機関からの海外支援などで運営が成り立っているので海外から人を雇うような余裕がありません。

また、外国人を採用するにはビザなどの問題があり、1つの孤児院がそのようなことまで対応できないのです。

ではどうすればいいのかというと、NPO/NGOの国際機関に所属して、そこから派遣されるルートを探しましょう。例えば、以下のような求人を探すといいです。

求人募集しているのは海外派遣ボランティアNGO団体です。ただ、ポジションはボランティアではなく、駐在員です。勤務先はカンボジアあるいはその他の国です。海外ボランティア参加者をマネジメントします。

具体的には現地職員や日本事務局と連携して、ボランティアプログラム向上のための話し合い・内容確認や全体のスケジュール管理を行います。現地への貢献を最大にすることが目的なので、プログラムの1つとして「孤児院へのボランティア」を提案することは可能です。

現地の人たちの暮らしの発展や子ども達の成長を間近で感じられる、やりがいの大きい仕事ができます。

応募条件は「英語が堪能であること」「21~35歳まで」です。駐在員とはいえ、一般企業ではなくNGO団体なので給与は高くありません。支払われるのは生活費と月給5~12万円程度です。ただ、宿泊費や食費、航空券・旅行保険などは全て支給されるので給与は貯蓄に回すことができます。

このように、どこかの機関に所属してから孤児院と関わる方法を探してみるといいです。

特別な資格があれば、活動の幅が広がる

一方で、あなたに特別な資格があれば海外での活動の幅が広がります。例えば、美容師資格や教育資格などがこれに該当します。

美容師資格の場合だと以下の求人のように働きながら孤児院でボランティアに参加することが可能です。

海外展開に力を入れている日本のヘアサロンの求人募集です。勤務地はカンボジアあるいはベトナムです。美容業務全般・現地ローカルスタッフ教育に従事します。

応募必須条件は「スタイリスト経験2年以上」のみです。英会話に自信がなくても向上心があれば問題ありません。

そして基本的には美容師としての勤務ですが、ボランティア活動として孤児院でボランティアカットを行います。自分のスキルを最大に活かせるボランティア活動といえます。美容師は国際協力と関係ないように思ってしまいますが、こうした国際貢献が可能です。

その他、保育士や幼稚園教諭などの資格があれば途上国の教育現場で力を発揮できます。例えば以下のような求人がこれに該当します。

日本のNGO財団法人が運営するカンボジアの学校で幼稚園のクラス担任を募集しています。幼稚園クラスの担当以外にもカンボジア人の先生を指導したり、教材やカリキュラムを作成したりします。教育現場経験が2年以上あれば応募可能です。

途上国の子ども達がきちんとした教育を受けられるよう貢献できる、教育者として非常にやりがいのある仕事に就けます。

このように、あなたのスキルや資格を活かして社会貢献ができるポジションを探してみるというのも一つの方法です。

海外ボランティア活動でやりたいことをやるのはどうなのか

なお、「海外求人では自分のやりたい活動ができない」からと海外ボランティア求人を探す人がいると思います。ただボランティアをする場合、こちらが費用を負担するケースがほとんどです。例えば以下のようなボランティア求人があります。

ボランティア派遣先はオーストラリア・シドニーです。期間は1週間から選択可能であり、フードバンクやチャイルドケアセンター、老人福祉施設などで活動します。

日常会話レベルの英語力があれば誰でも応募可能です。ただし、短期の無給ボランティアコースで費用は11万円(1オーストラリアドル65円で算出)です。渡航費用や宿泊費・食費などは別途自費で支払う必要があり、ボランティア活動をするのにかなりのコストをかけなければなりません。

やりがいや達成感のある活動ですが就労経験にはならず、あなたのキャリアに大きなプラスになるとは言えないのが現実です。

このような海外ボランティアプログラムに参加しなくても、正社員としてNGO/NPO団体に就職すれば給与をもらってキャリアを築きながら国際貢献ができます。そのため、ボランティアに参加する意味はありません。

海外ボランティア駐在員は英語必須が基本

ただ、NGO/NPO団体が募集している海外ボランティアの駐在員の求人は基本的に英語力が必須となります。なぜならアフリカや東南アジアの村などで最低限の人手でプロジェクトを遂行する必要があり、英語でのコミュニケーションをとれなければ支障が出てしまうからです。

同時に幅広い業務を一人で担う能力が求められます。例えば以下のような求人がこれに該当します。

NPO法人がケニア事務所業務調整員を募集しています。プロジェクト元は外務省なので安心です。担当業務は非常に幅が広く、プロジェクトマネージャーの補佐として事業が円滑に進むよう調整するだけでなく、総務・経理・訪問者の宿泊手配・保険手続き・安全管理・現地スタッフマネジメント・大使館との連絡調整に至るまで様々です。

応募条件は「現地での業務がスムーズに進められる程度の英語力」があることです。

その他、もう少し上流工程のプロジェクト開発に携わる求人もあります。

勤務先はパキスタン南東部のカラチにある日本領事館です。農業・教育・医療といった様々な分野のプロジェクト開発に関する調査や新規開発と事前調査・フォローアップなどに従事します。最長3年間駐在可能です。

応募必須条件は同じく「英語の十分な能力(文書作成・会話・交渉)」があることのみです。月給は37.4万円(1米ドル110円で算出)との提示があり、この他居住費も支給され、問題ない待遇といえます。

このように駐在員として海外支援に携われるポジションが存在します。ただし、英語力は必須となります。

日本を活動拠点に国際貢献することも可能

一方で、「英語が苦手」という人も多いと思います。そうしたとき、日本国内勤務であれば英語を必要としないポジションが存在します。例えば以下のような求人がこれに該当します。

国連NPO団体のスタッフです。国連難民サポーターへの参加を呼び掛けるキャンペーン活動を行います。また駅前や街頭に立ち、サポーターを集めることもします。

応募必須条件は特になく、日本人相手に呼びかけを行うので英語力も問われません。このようなポジションに就けば、世界の困っている人々を助ける支援ができます。ただ、現地との直接的な関わりがないため、やりがいは少なく、おすすめできません。

一方で、国内勤務でありながら海外出張を伴う求人もあります。このとき最低限の英語力は必要になります。

国際ボランティアNGO団体が関西事務局の正規職員を募集しています。ワークキャンプや中長期ボランティアの運営業務全般に携わります。プロジェクトの企画・準備・フォローを担い、国内・海外の出張に赴きます。

応募必須条件は「英語の基本的な読み書きと日常会話ができる」ことです。前述した駐在員ほど高い英語力は求められませんが、最低限は必要になります。国際会議や海外出張があるからです。

日本国内ベースで海外出張のあるポジションを探せば、高い語学力を求められない求人が多いです。

まとめ

「孤児院で働きたい」「途上国の子ども達の教育に携わりたい」など明確にやりたいことがある場合、ピッタリ当てはまる求人を探してみるといいですが簡単には見つかりません。そうしたとき、まずは国際機関に所属してあなたのやりたいことが叶えられるプロジェクトに参加させてもらいましょう。

また、仕事としてではなく海外ボランティア活動を希望する人もいるかもしれませんが、自己負担が大きくお金と時間の無駄です。ボランティアでなくても国際貢献ができる海外求人は正しい方法で探せば見つかります。

ただ、給与をもらいながら国際貢献の仕事に就く場合、英語力は必須となります。途上国などへ派遣され、現地で大きなプロジェクトの運営を任されるので当然といえます。

このとき「英語力に自信がないけど国際協力や社会貢献に従事したい」という人はNPO/NGO団体が募集している国内勤務の求人を探すといいです。英語が不要な求人、最低限の英語力で応募できるポジションがあります。

ただ、いずれにせよ一般企業の求人に比べると、求人数が豊富にあるわけではないので、あなたに当てはまる求人を見つけたら応募するようにしましょう。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。