秘書や事務・受付といった職種は常に人気があり、特に女性が好む傾向にあります。ただ秘書や事務は日本国内では求人数自体が少なく、これらの職種を希望しても「就職先が見つからない」という方も多いのではないでしょうか。
一方で、海外転職サイトで秘書・事務・受付といった求人を探してみると、意外と求人が豊富にあります。しかも「高い語学力を求められない」「未経験OK」といった求人が多く、国内で仕事を探すよりも見つけやすいケースもあります。
ここでは海外勤務の秘書・事務・受付の職種には「どのようなスキルや能力が求められるのか」「どのような場合に求人が見つかりやすいのか」について述べていきます。
もくじ
秘書・事務・受付の海外転職は意外と容易い
前述の通り、日本国内で未経験から秘書や事務職に転職するのは難しいです。そもそも枠自体が少なく、求人が出ても経験が求められます。一方で、海外転職サイトの求人を見てみると、「未経験OK」と記載のあるものがあります。
また、英語力についても「初級レベル」や「日常会話レベル」など高い語学力を求めていません。
経験が無くても応募できる求人がある
通常だと、経理や受付スタッフを含めて国内転職では経験を求められます。一方で海外転職の場合は、以下のような「未経験OK」としている求人も存在します。
勤務地はベトナムの古都フエです。日系IT企業で社長秘書として事務やサポート業務に従事します。具体的には「資料作成やチェック」「スケジュール管理」「カンボジアや日本への出張同行」などです。
専門知識や難しいスキルは求められないので、秘書や事務の経験は問われません。ただ、「社会人経験5年以上」「コミュニケーションレベルの英語」「パワーポイント・エクセルが使えること」が必須条件です。
月給は約20~30万円(1USドル110円で算出)です。人気の高い秘書職でありながら、日本での待遇と差異はありません。さらに年に2回の昇給があり、物価の安いベトナムでは十分といえます。
・政府関連機関での事務職も未経験からOK
また民間企業へ転職をしつつも、政府機関でも就職可能なケースがあります。例えば、以下ではマレーシアのクアラルンプールで政府関連機関が事務職を募集しています。しかも未経験OKの求人です。
日本大使館やJACTIM(マレーシアにある日本商工会議所)、ジャパンクラブなどの政府関連機関の活動と役割をサポートします。
具体的には、「管理業務やゲストのサポート」「各部門別レポート作成・提出」「官公庁のイベントや公式イベントのサポート」などに従事します。これについても特別なスキルは不要なため未経験でも応募できます。
応募必須条件は「短大卒以上」「社会人経験3年以上」「ビジネスレベルの英語力」「Microsoft Office, Power Pointの操作が出来ること」です。「英語は得意だけど事務職は未経験」という方は、このような求人がおすすめです。
高い語学力が求められない求人もある
しかしながら、一般的には海外の事務職は英語力が求められます。海外顧客への対応や社内スタッフとのやり取りで英語を使う機会があるからです。
そうしたとき、「英語が苦手」という場合でも大丈夫です。例えば以下の求人を見てみましょう。
勤務地はベトナムです。日系引っ越し会社で営業事務のポジションを募集しています。見積り依頼のあるお客さんの家を訪問して荷物チェックをし、通関の書類作成やスケジュール調整などを行います。
応募条件は「営業あるいは営業事務経験2年以上」「大学卒業」「日常会話レベルの英語」のみです。
社内は日本語なので初級レベルの英語力で問題ありません。2年以上の営業経験さえあればいいので、条件はクリアしやすいといえます。このように海外勤務であっても、日本語だけで業務を遂行できる事務職も存在します。
経験や資格より幅広い業務に対応できる能力が求められる
なお海外勤務の事務職の場合、職種の掛け持ちを任されることは珍しくありません。それぞれ専門の人材を採用するより、一人の人材に複数の業務を担当してもらった方が、コストがかからず効率的でもあるからです。
そのため、経験や知識よりもオールマイティーさが求められます。これが秘書や事務・受付の海外転職で、国内転職のような高度なスキルを要求されない理由です。例えば以下のような求人がこれに該当します。
勤務地はシンガポールにある私立病院内日本人向けクリニックです。ここで、「受付会計」と「事務全般」のポジションを募集しています。
受付会計は、受付と会計以外に「カスタマーサービス全般」「健康診断業務(アレンジ・レポート作成・発送)」「医局秘書業務」「各種書類処理」と、秘書も含んだ様々な業務に従事します。
事務職では事務以外に「受付・健康診断」「簡単な通訳・翻訳」「医局秘書業務」を担当します。
このように両職種とも秘書・事務・受付を兼任することになります。また、応募資格には、「医療事務の資格・経験不問」「様々な仕事をフレキシブルに対応できる人」との記載があります。
医療に関する専門知識や資格・経験のある人よりもオールマイティーに仕事をこなせる人が求められているのです。
・旅行会社での事務職の場合
また他にも、例えば旅行会社の事務職の場合、ツアーコーディネーターを兼任するポジションが募集されています。
世界40か国に支店を構える旅行会社のフィリピン支店での勤務です。
「受付業務・接客全般」「お客さんのアテンド」「日本とのメールや電話での対応」「予約手配業務」といった旅行関連業務から、「新商品の企画・立案・リサーチ」「WEBサイトのメンテナンス」といった運営に関わる仕事まで幅広く携わります。
それでも応募必須条件は「心身共に健康な方」「PCの基本スキルがありインターネットを普段から使っている方」「長期で勤務可能な方」などの記載のみで、経験や資格・スキルは求めていません。
また、英語力に関しても特に基準は設けられてないです。フィリピン人スタッフとの英語によるコミュニケーションを通して、仕事をしながら英語力を磨いていける環境にあるからです。
このように、知識や語学力は仕事を通して身につければ問題ありません。海外オフィスの環境に適応し、様々な業務をさばける能力のある人は、秘書・事務・受付への海外転職に向いています。
海外出張に同行する秘書を希望するならキャリアが必要
なお、秘書を希望する人の中には「日本を拠点にして、海外出張に同行するポジションがいい」と考える方も多いです。ただ、海外出張を伴う秘書の場合は、国内転職になるのでキャリアに加えて高い語学力が必須となります。例えば以下のような求人です。
勤務地は東京都ですが、海外出張(主に英語圏)に同行します。仕事内容は「海外での秘書業務」「海外出張手配および同行」「海外顧客対応」「ニュースレターの取材・発行(英訳)」「出張先での通訳」などです。
通訳など高度な英語力が必要なため、応募には「ビジネスレベル以上の英語力」が求められます。また、役員対応ができるコミュニケーション力も必須です。秘書経験は無くても問題ありませんが、経験者は優遇されます。
また、年収は600~1249万円との提示があります。秘書の中でも高度なスキルを求められるため給与は高額です。高収入を希望する場合は、このようなポジションを目指すと良いです。
・世界中を飛び回れる役員秘書
ただ、中には「年に数回の海外出張では物足りない」という方もいるでしょう。その場合、以下のような求人がおすすめです。
役員の個人秘書として、シンガポール(約5割)、欧米(4割)、日本を含むその他アジア(1割)を飛び回ります。
日常的なスケジュール管理から、簡単な資金管理・その他身の回りのサポートに従事します。また、能力があれば交渉のテーブルで実務を担当することも可能です。
応募条件として「上級クラスの英語力」「マネジメント能力」「数字に強いこと」などが求められます。海外顧客との電話・メール対応や交渉が必要になるので、高い英語力が必要です。このような仕事に就けば、秘書経験を積めるだけでなく、交渉力やマネジメント能力といったビジネススキルを磨けます。
ここで紹介した求人は未経験や語学力が低いと就職は難しいですが、今そうしたスキルがない場合、海外で経験を積んだ後にこのようなポジションへのキャリアアップを目指すと良いです。
貿易事務の海外求人はあるのか?
なお事務職を希望する人の中には、「海外勤務の貿易事務」を考える人も多いと思います。しかし、貿易事務は日本国内での求人が圧倒的に多く、海外勤務の求人は少ないです。
そもそも貿易事務は輸入・輸出に伴う書類作成やスケジュール管理などを行うため、日本国内でできてしまうのです。そのため、海外で日本人を雇う必要性は低くなります。
ただ、求人は少ないだけであってゼロではありません。例えば以下のような求人があります。
勤務地はタイにある自動車部品会社です。主な仕事は日本本社との輸出・輸入や技術に関するやり取りです。社内スタッフに英文で連絡事項や情報共有を行うので、メールができるレベルの英語力は必要になります。
ただ、経験は特に求められません。海外で貿易事務職として働きたい場合はこのような求人を探すと良いです。
まとめ
秘書・事務といった職種は人気がありますが、日本国内で未経験からの転職は難しいといわれています。
一方で海外転職の場合は、幅広い業務にフレキシブルに対応できる人であればこれらの仕事に就職するのは難しくありません。未経験や語学力が低くても応募できる海外求人があります。
さらに英語が得意な場合は、高収入をもらえるハイポジションに転職することも可能です。
「秘書や事務の経験がないから海外勤務は無理だろう」「英語が苦手だから海外転職は不可能」と諦める必要はありません。むしろ、秘書・事務・受付といったポジションは海外転職において広くチャンスがあります。
まずは、海外転職サイトの求人の中から希望・条件のマッチするものをリストアップしてみましょう。そうすれば、希望の国にて海外勤務の事務職への転職を実現できるようになります。
海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。
ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。
しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。
人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。