ヨガとピラティスは世界中で女性を中心に人気があり、身近な運動の一つです。そのためインストラクターの需要は世界中にあり、海外でヨガ・ピラティスの資格を取得できるスクールも多数存在します。

ヨガやピラティスの資格を持っている方の中には「せっかくなら本場のアメリカで働いてみたい」と考える方がいると思います。

また、海外ドラマや海外に住むモデルなどがビーチや緑に囲まれた自然のきれいな場所でヨガマットを広げ、レッスンを受けている姿に憧れる人も多いのではないでしょうか。

それでは、海外でヨガ・ピラティスのインストラクターとして働くためには、どのような手段があるのでしょうか。これには、以下の3つの方法があります。

  • 海外のヨガスクールに通って現地で就職する
  • フリーランスでヨガ・ピラティスのインストラクターとして海外で働く
  • 転職サイトを使って海外でヨガ・ピラティスの求人に応募する

具体的な方法について詳細に述べていきます。

ヨガ(ピラティス)留学して現地で就職する

世界中で浸透しているヨガやピラティスは、今や世界各地で学ぶことが可能です。ヨガ人口の多いアメリカ・ハワイやオーストラリア、ヨガの発祥地であるインド、その他にもバリ・タイなどで本格的なヨガを学ぶことができます。

ヨガ留学はヨガを学ぶというメリットだけでなく、語学の勉強にもつながります。しかし、ヨガ留学にはかなりの費用がかかります。以下はヨガ留学の運営サイトに記されている実際の料金表です。

このように、1ヶ月で安くても35万円となり、高ければ月85万円かかることが分かります。さらに航空券や生活費を合わせると、かなりの金額です。しかも資格を取得したところで、現地で就職するのは非常に難しいです。

就労ビザの取得が難しいアメリカでは、ヨガ留学したところで現地就職はまず無理でしょう。

「留学中に特別なコネクションができた」「滞在先で出会った現地の人と結婚した」などであれば、就労ビザの取得は不可能ではありません。ただ、海外就職のためにヨガ留学を選択するのはお金がかかる上、ビザの障壁が乗り越えられないため現実的ではありません。

私が住んでいるヨーロッパにもヨガの資格を取れるスクールが存在します。実際に私の知り合いでスクールに通って資格を取った方がいます。ただ、彼女はヨガ留学でヨーロッパに渡航したのではなく、旦那さんの仕事の都合によりヨーロッパで暮らしています。そのため、生活費や渡航費はかかりません。

しかも、資格取得後にヨガの仕事に就いているわけでもありません。彼女は「語学力もヨガのスキルも同時に伸ばすことができてよかった」と話しており、単なる趣味の一環として資格を取っています。

そのため、ヨガやピラティス留学は「趣味であるヨガを上達させたい」「海外でヨガを学びたい」「語学力を伸ばしたい」という方には向いていますが、「海外で働きたい」という目的で進む選択肢には向いていません。

フリーランスでヨガ・ピラティスのインストラクターとして海外で働く

留学後に現地就職するには、就労ビザが大きな壁になることを述べました。では、「自分でヨガ教室を開いてフリーランスとして働くのはどうか」と考える方もいるでしょう。

ここで、就労ビザで雇われる場合とフリーランスとして働く場合の違いについて説明したいと思います。一般的な就労ビザは、「企業に雇ってもらい、収入を得てもよい」という労働許可証です。

いきなり海外からやってきた外国人が就労ビザ無しに働いてしまうと、その国の人の雇用が奪われてしまいます。国民の雇用を守るため、限られた外国人にだけ就労ビザを与えて国内の雇用を守っているのです。

一方でフリーランスの場合は、自分で起業して商売をしたり、自分のスキルで収入を得たりします。実際、美容師やアーティストなどの多くはフリーランスで働いています。

この場合は国民の雇用を奪うというよりも、起業して事業が大きくなれば自国民を雇ってもらえる可能性があります。そのため、国によってはフリーランスビザに関しては規制を緩くしています。

例えばオランダでは、日本人はフリーランスビザを容易に取得できます。「ビジネス用の銀行口座に約60万円を保証金として預ける」「自分の会社を商工会議所に登録する」「事業計画書を提出する」などでフリーランスビザがもらえます。

ただし、会社に雇用されるわけではないので収入は全て自分で稼がなければなりません。実際にフリーランスビザで美容室や日本食店、日本語教室を経営している日本人はたくさんいます。

さらに、私の知り合いにもフリーランスビザでオランダに渡航して、ヨガのインストラクターとして日本人を中心にヨガを教えている方がいます。

ただし、フリーランスビザで海外に渡り、いきなりヨガやピラティスのインストラクターとして生計を立てていくのはかなり難しいです。

教室を開けば日本人が勝手に集まるわけではなく、集客には苦労しているのが現実です。また生活していくには、日本人以外の現地の人にも教える必要があるので語学力も必要になります。私の知り合いの先生はヨガ一本ではなく、日本人を対象とした幼児教室を開いてヨガ講師以外としても活躍しています。

毎年、多くの日本人がフリーランスビザでオランダに移住してきていますが、同時に多くの日本人がオランダを去っています。

安定して仕事ができなければ海外で生活をしていくのは大変です。このように、外国でフリーランスビザを取得してヨガ・ピラティスインストラクターとして活躍する方法もありますが、リスクが大きくおすすめできません。

転職サイトを使って海外でヨガ・ピラティスの求人に応募する

ヨガ留学からの現地就職やフリーランスビザでインストラクター業に就くのは難しいと述べましたが、他にも方法があります。それは転職サイトを利用して日本で海外の求人に応募する方法です。

例えば以下の求人ではシンガポールでピラティスのインストラクターを募集しています。

プライベートレッスン・事務(資料整理、ウェブサイト業務、電話応対など)・グループレッスンを担当します。

こちらの企業は1000人以上のインストラクターを輩出し、10年以上スタジオ経営しているので経営基盤がしっかりしていると考えられます。

また、シンガポール以外にも香港や韓国などに6拠点スタジオを経営しており、将来的に海外スタジオへの異動も可能です。「色んな国でヨガを教えていきたい」と考えている方に魅力的な求人といえます。

応募資格は「ピラティス資格」のみです。求める人物像は「ピラティスを活用して身体の改善をしたい人のために、深い知識と経験を持って教えることのできる方」「1年以上働ける方」です。

さらに、英語力は問われません。給料は月20~25万円です。加えて社宅が提供されます。また、福利厚生に「同社ピラティススタジオグループレッスン無料」「インストラクター資格受講無料」が含まれています。

インターナショナルなスタジオで働きながら、さらにピラティスのスキルを磨くことができます。

東南アジアのヨガインストラクターとして働く

このように、東南アジアの海外求人へ応募するのは一般的です。例えばその他にも、タイ・バンコクでヨガインストラクター(副店長)の求人募集があります。

必要な資格はヨガインストラクター経験1年以上、20~40歳の女性のみです。

ヨガのインストラクター業に加えて接客・受付・見学対応業務も担当します。生徒の95%が日本人なので英語力は求められませんが、オーストラリア人やタイ人もいるので英語を学べる環境にあります。

ヨガ・リトリート講師として海外で働く

他には、スタジオでインストラクターとして従事する仕事だけではなく、ヨガ・リトリート講師の求人もあります。ヨガ・リトリートとは、「自然に囲まれた場所でヨガに浸り自分を癒すヨガ合宿のこと」です。

ヨガ・リトリートは日本国内に限らず、海外ではハワイ・タイ・バリ・オーストラリア・イタリア・ギリシャ・フィリピンなどで開催されています。ヨガ好きの仲間と共にその土地のオーガニックフードを味わいながら、ヨガの深みを追求していきます。

出典:エイビーロード

いまではヨガ・リトリートのパッケージツアーなども企画されており、旅行とヨガ・リトリートを楽しみたいという女性を中心に人気があります。

このような需要があることから、ヨガ・リトリート講師の求人が募集されています。例えば以下のような求人がこれに該当します。

こちらの会社は海外でヨガ・リトリートの企画・運営を行っています。講師自身がヨガ・リトリートの企画を組んで講師を務めます。応募条件は「現在ヨガ講師として実際に活躍している方」のみです。特別な資格や語学力は不要です。

参加者は日本人なので英語力は求められません。このようにリトリート講師として活躍すれば、海外の美しい場所でヨガのインストラクターが可能です。

ただし、このようなヨガ・ピラティス関連の求人は豊富にあるわけではありません。複数の転職サイトに登録して、求人が出されたらすぐに応募するようにしましょう。

未経験やヨガ・ピラティスの資格を持たない場合、海外就職は難しい

なお、あなたが単純にヨガ好きで、資格やインストラクター経験を持たずに海外のヨガ・インストラクターとして転職したいと考えているのであれば、それは現実的ではありません。

先に紹介した求人票をみて分かる通り、「関連資格を持っていること」「既にインストラクターとして活躍していること」などが求められます。

そこで、全くの未経験の場合は以下のような求人に応募すると良いです。

こちらは海外勤務ではありません。日本最大級のホットヨガスタジオの求人票です。

入社後半年間、研修を受けることで全米ヨガアライアンスの認定資格を取得できます。給料をもらいながら世界中で通用する専門資格が取得できるのは大きなメリットです。

講師デビュー後には海外ヨガ視察などグローバルに活躍できます。このような会社でスキルを身につけ、経験を積んだあとに海外転職の道を探していくといいです。

まとめ

海外でヨガ・ピラティスのインストラクターとして活躍するには、留学して現地就職を狙ったり、フリーランスビザを取得して教室を開いたりする選択肢があります。ただ、コストがかかる上に安定した収入が得られる保証はありません。

そのため海外で生活していくためには、企業に雇ってもらい、給料をもらう方が無難です。日本にいる間に転職サイトを利用して求人を探しましょう。

ただ、いつでもヨガやピラティス関連の仕事の求人が豊富にあるわけではないので、複数の転職サイトに登録して担当者に希望を伝えておくとよいです。

語学力に関しては、高いレベルは求められないので渡航してからでも間に合います。まずは転職サイトに登録することから準備を始めましょう。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。