海外ボランティアを検討している人には色々な動機があると思います。例えば、「次の転職に向けて海外経験を積みたい」「日本で働くことに疲れた」「新しいことにチャレンジしたい」「人助けがしたい」などの理由が挙げられるのではないでしょうか。

「途上国の困っている人々を助けるために海外ボランティアに行く」という動機はとても聞こえが良いです。しかし、ボランティアの期間が必ずしもあなたのキャリアにプラスに働くとは限りません。帰国後、就職できないケースがあるのも事実です。

そこで、海外ボランティアに参加する前に、海外転職活動をおすすめします。海外求人を探してみると、ボランティアでなくてもあなたのやりたいことが見つかる可能性が高いです。仕事をしながら、途上国で大きな貢献が可能なのです。

ここでは、「海外ボランティアに参加した場合の、帰国後の就職におけるメリット・デメリット」「ボランティアではなくても国際経験が積める求人や国際協力・社会貢献ができる求人」について紹介していきます。

転職における国際海外ボランティアのメリット

まずは海外ボランティアに参加した場合、帰国後の就職活動でどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。特に、将来の転職を見据えながら海外ボランティアに参加することを考えている人はメリット・デメリットの両面を十分に知った上で参加を決めるべきです。

海外ボランティアでは様々なメリットを得られますが、その中で就職活動に役立つメリットを紹介します。

・海外ボランティア経験があると就職で有利になる

海外ボランティアや国際協力の経験を積んでいると、NGOなどでは選考において有利となることがあります。ただし、「国際ボランティア経験必須」というような求人は存在しません。例えば以下のような求人があります。

募集しているのは福岡県の国際協力NGO職員です。地域と世界の国際協力の推進に取り組んでいる団体であり、管理・運営に関する業務全般を担当します。具体的には国際協力に関する研修の講師派遣やイベントのブース出展、NGO団体の支援事業、国際協力に関する情報発信業務、国際協力に関わる人材育成などに従事します。

応募に必要な資格は指定されていませんが、「過去NGO等国際協力に関する業務に従事した経験がある方を優先します」との記載があります。

このように国際ボランティア活動や青年海外協力隊での経験が転職に活かせることがあります。

・語学力が身につく

当然ですが海外ボランティア活動で様々な取り組みを通して、英語あるいはその国の言語を身につけられます。私自身、語学の勉強を通して痛感するのが、「本当に必要に駆られると語学力は飛躍的に向上する」という事実です。

例えば、業務の中で不明点があると、直接上司に聞きに行って理解できるまで質問します。このとき、コミュニケーションが上手くとれないと「どう伝えればよかったのか」と必死に勉強します。

そのため、留学などで受動的に外国語を身につけるよりもボランティア活動や仕事などを通して習得した方が、飛躍的に語学力は向上するのです。帰国後は習得した語学を活かした仕事に就くことが可能になります。

国際ボランティアに参加するデメリットは職歴にならないこと

これらメリットばかりに注目してしまいがちですが、デメリットについてもよく知っておくべきです。国際ボランティアでは以下のようなことがあります。

ボランティアに参加したからといってもそれは職歴にはなりません。「何か大きなプロジェクトをやり遂げた」というアピールできる実績があればいいのですが、現地で頼まれたことをやっていただけでは職歴にブランクができてしまいます。

そのため長期間のボランティアに参加する場合は、漠然と「人助けがしたい」といった目的ではなく大きな志を持って挑む必要があります。

帰国後、仕事が見つからない人が大多数

よくある話が「青年海外協力隊に参加したものの、帰国後就職できなかった」というケースです。日本では社会のレールから一度外れてしまうと戻るのが難しくなります。また、1~2年のボランティア期間でもあなたは歳をとります。

例えば、20代後半で海外ボランティアに参加して帰国後30代に突入してしまうと転職の際に実務経験を求められる職種が多くなり、選択肢が狭まってしまうのです。

そのため、「国際ボランティアに参加して語学力を活かし、新しい仕事にチャレンジしたい」と希望していても、実務経験不足の理由により帰国後にやりたい仕事が見つからない可能性が高いです。

海外ボランティアの求人と海外転職の求人を比較してみる

なお冒頭で述べた通り、海外ボランティアに参加しなくても同様の経験ができる正規雇用の海外求人が存在します。両者を比較してみましょう。

途上国の子ども達に英語を教えたり、イベントを実施して子どもが社会から孤立しないようにサポートしたりする海外ボランティア活動は多数存在します。例えば以下のようなプログラムです。

カンボジアにて子どもや若者に教育推進をはかり、生活環境の向上を目的とするボランティアです。ここで英語教育をはじめ、音楽やお絵かき、スポーツの指導などに従事します。

宿泊施設や食事などは提供されますが、このボランティア活動では給料どころか逆に登録費用が発生します。月額39,000円です。ボランティア活動をするのにお金を払わなければならないのです。

一方で、正規雇用の海外求人では以下のような募集があります。

同じくカンボジアで、子ども向けアートスクールと幅広い年代向けの英会話スクールの運営に従事します。つまり、途上国での教育に携わることができます。給与は4.4~11万円(1アメリカドル110円で算出)であり、さらにインセンティブが加わります。

日本に比べると給料は安いですが、ボランティアのようにマイナスではありません。また、社宅があるので居住費はかかりません。カンボジアの平均所得は月2.3万円程度なので余裕を持って生活していけます。

このように有料のボランティアに参加しなくても、貧しい国で教育に携われる海外求人が存在するのです。

青年海外協力隊は職種経験・語学力が求められる

それでは海外ボランティアとして人気がある青年海外協力隊の募集要項についてみていきましょう。一覧表をみたら分かりますが、応募条件として特定の職種経験や知識・英語力が求められます。

マーケティング経験や農業に関する知識・経験、経理・財務経験などが必要になります。このような職務経験がなければ、青年海外協力隊には応募すらできません。

また、ある程度の英語力も求められます。これらの条件をクリアできれば、「途上国の村に駐在して、社会問題を解決する」といった公益性の高いボランティア活動に参加できます。ただ、応募すれば受かるわけではなく、高い倍率の中から選ばれた人だけがチャンスを掴めます。

なお、青年海外協力隊は無償ボランティアではなく、一定額の手当が支給されます。派遣期間中は年収70万円ほどです。貴重な経験はできますが、企業のような福利厚生やボーナスの支給はなく、給料として考えると少額です。

一方で、海外転職であれば職種経験や語学力がなくても応募できる求人が豊富に存在します。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務先はミャンマーにある人材紹介会社です。日本への就職を希望しているエンジニアや技能実習生に対して日本語を教える教師を募集しています。授業計画・カリキュラムの作成などにも従事します。

未経験者の応募も可能であり、語学力についても問われません。月給は88,000円(1アメリカドル110円で算出)ですが、住居は会社支給なので貯蓄も可能な金額です。

途上国の人々の生活を豊かにするための手助けができる、社会貢献度の高い仕事といえます。

人助けがしたいのであればNPO・NGO法人に就職するのも一つ

なお、「海外就職では社会貢献度の高い仕事が見つからない」という場合はNPO・NGO法人に就職するという手段があります。NPO・NGO法人に就職すれば国際協力を仕事にすることも可能です。例えば以下のような求人がこれに該当します。

勤務地は東京都です。海外ボランティア派遣事業を手掛けるNGO法人であり、前述したような有料ボランティアのプログラムを提供しています。質の高いプログラムを開発するために現地受け入れ団体とやり取りして、視察のため海外出張にも赴きます。

海外ボランティア活動を裏で支える社会貢献度の高い仕事です。応募必要条件は「日常英会話以上の語学力」「学士号(大学卒業)」があることのみです。中途採用の月給は26~35万円であり、さらに賞与が年2回支給されます。

ただこのような国際協力事業に従事できれば、やりがいのある仕事をしながらキャリアを築いていけます。

一方で、「海外で活躍できるNPO・NGO法人に就職することはできないのか」と思う人もいるのではないでしょうか。残念ながら海外で人道支援などを行う場合、ボランティアで賄えてしまうため、正規雇用の求人は存在しません。上記のような海外ボランティアの活動に参加する人々をサポートする国内勤務の求人がメインとなるのです。

まとめ

海外ボランティアへの参加を検討しているのであれば、まずは「やりがいを感じられる仕事がないか」と転職を考え、海外転職サイトで探してみるといいです。海外転職サイトにはベトナムやカンボジア・インドネシア・ミャンマーといった東南アジア諸国の求人が豊富に存在します。

単純に「国際経験が積みたい」のであれば、ボランティアでなくても語学力不問・未経験OKの求人は多数あります。

また、「海外ボランティアでしか実現できない」と考えている国際経験・国際協力については、途上国での求人を探してみるとよいです。教育関連の仕事であれば、難しいスキルや豊富な経験がなくても応募できます。途上国の子どもや若者たちに教育を通して生活を向上させるサポートができるのです。

一方で海外ボランティアに参加すると、給料は最低限であり、職歴にブランクができます。有料のボランティアプログラムに参加するくらいであれば、海外就職してお金を稼ぎつつ、社会貢献しながらキャリアを築いていった方が賢明です。

海外ボランティアに参加しなくても、海外転職という道を選んで社会貢献できます。まずは複数の海外転職サイトに登録して「国際協力を仕事にできる求人」「途上国で教育に携われる求人」「NPO・NGO法人に就職する求人」などを探してみましょう。


海外転職を実現するときであっても、転職サイトを利用するのが一般的です。日本に居ながら転職活動をするのが普通なのです(海外在住者も同じく転職サイトを使い、現地で活動する)。

ただ、海外転職に対応している転職エージェントは少ないです。日本にある転職サイトはほとんどが国内求人のみに対応しているからです。ただ探せば、問題なく海外求人に対応している転職サイトを利用することができます。

しかし、海外求人はそれ自体がレアです。また、「アジアに特化している」「専門性の高い求人ばかり保有している」など、転職サイトごとに特徴があります。そこで、2~3社の転職エージェントを利用して、見比べながら求人を探さなければいけません。

人によって狙っている国や求人は異なります。そこである程度まで求人の条件を絞って転職活動をしましょう。そのために必要な「海外対応の転職サイト」の特徴や違いについて、以下で記しています。